
真菰セブン寿村 尊 長 山本勝美さん
福尊長 神橋信子さん
津山で休耕田を借りて『マコモを植えよう』という活動を始めた団体がある。「その前にマコモって何?」という人も多いだろうから、簡単に説明を書く。
“真菰(マコモ)は水辺に群生する多年草。水深が数十センチある場所に水につかるように生え、夏から秋にかけて、50センチの大きな穂をつけます。茎は莚(むしろ)や蓑の材料としても用いられ、「菰(こも)」とも呼ばれます。
また、水中の栄養分を吸収し富栄養化した水を浄化する働きもあります。
食用としては、天ぷらや炒め物に使うマコモタケと呼ばれる竹の子のようなところと、茎や葉を煮だして飲むマコモ茶が知られています”
今回は、『真菰セブン寿村』という団体を立ち上げた、尊長 山本勝美さんと、福尊長 神橋信子さんに話を聞いた。
この5月13日には、13人もの仲間と共に初の田植えを行った。「津山の水を綺麗にしたい」そんな思いから始まった計画だが、なんと初回から13人もの協力者を得て一歩目を踏み出すことができたのだ。
今回マコモを植えたのは、下横野の休耕田。協力者が約一反ほどの田んぼを耕し、代掻きまでして、用意してくれた。
苗の大きさは、丈が30センチから40センチと、稲と比べるとかなり大きい。
今回植えた苗は、鏡野町、東粟倉村、和気町の『マコモ』を植えられている方から、休眠株を分けてもらった。
水の張った田んぼに、約2メートル間隔で1株で7本ほどの苗を束にして手植えする。111株を植え付けたので、植えた苗の総数は777本と縁起が良い数にした。
キッカケは会員のひとりの中田さん。ネットでマコモの事を知り、自宅でバケツによる栽培を始めたことに始まる。その話が、親交のあった山本さんたちにも伝わり『みんなで津山をきれいにしよう』ということになったのだそうだ。
何から何まで手探り状態で、よく分かってないものが、色々調べたり右往左往しながら動き回っている感じなのだという。
また、近い将来は水の浄化だけの目的ではなく、マコモを津山名産に育て、『マコモダケ』や『マコモ茶』として、道の駅などで販売もしたいと、夢を膨らませている。
マコモダケは冒頭でも触れているが、茎に黒穂菌がついて肥大化した部分が、アスパラガスのようになるもの。食べるとアクやクセがなく、シャキシャキとした食感で竹の子の先端部分と似ている。また、灰汁抜きなしでも食べられるのだという。加熱するとより甘みが増すため、素焼きにして、塩や醤油で食べたり、天ぷらにして食べる調理が人気だ。この『マコモダケ』の旬は9月下旬~11月頃と秋の味覚になる。
そして、マコモ茶のほうは葉を乾燥させて細かく切り、水で煮だす。ノンカフェインで、肺・心臓・肝臓・脾臓・腎臓の五臓にも良いとされ、血圧や血糖値の上昇抑制、乾燥肌、冷え症、デトックスにも効能があるとのこと。
岡山県内の里庄町でも、すでに『マコモ』の栽培が行われているのだそうだ。『マコモダケ』は人気となっており、里庄町まで買いに行き、試食会を開いた結果、評判も上々だった。
一定量の生産が可能ならば、商品として十分やっていける手ごたえはあるのだという。このまま、『マコモ』が順調に育てば秋には『マコモダケ』が取れるという。
まずは、需要が高そうで、加工の必要がない『マコモダケ』から、道の駅に出したいと思っていると、近い将来の夢へ進む。
『マコモ茶』の方は加工品になる事から、当面は自分たちが飲むものを作るところから始めるという。
田植えが近づいてから今に至るまで、山本さんは、あちらこちらで休耕田を見るたびに、「ここにも『マコモ』を植えたいな」などと考えてしまうという。
次回、期日は決めていないが、夏のうちに、マコモ株を有償で譲るイベントの開催を計画しているのだそうだ。
休耕田だけでなく、各家庭で『マコモ』の良さを感じ取ってもらいたいという趣向だ。
水質浄化のため、名産品として育てるため、マコモの普及に向けて、突っ走る日々が続いている。
「津山と言えば、マコモの産地でしょ」と言われる日が来るまで、まだまだ時間は掛かるかも知れないが、その日に向かって、前進し続けて欲しい。