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矢野康史さんの『第12回つやまニア』テーマ〈文字の秘密に迫る〉から(第1回)

今回は、矢野先生の講演会を題材として、日本の文化の中でも、言葉(文学)について迫ってみようと思います。日本の文字(漢字)の表記の成り立ちについてなど、矢野先生が用意された、教材用のレジメを元に話を進めます。

まずはタイトル。
「―意外に知られていない日本の文字の不思議―」

そして、その内容は以下の通りです

“○日本民族は独自の文字を持たない民族だった?
 約九千年の縄文文化という世界に誇れる独自の平和文化を持っていたが言語はもっていても伝達、記録の文字は過去の遺跡から発見されてない(5世紀頃、江田船山古墳出土の鉄剣に銀象嵌の75文字、最古の記録文字)(その後埼玉県の稲荷山古墳より金錯銘鉄剣が発見 115文字の漢字銘文)”

5世紀と言えば、大和政権が九州から東北南部までの支配を確立したころです。
丁度、畿内に前方後円墳が盛んにつくられていたころになります。
矢野先生のレジメでは、さらに以下のように表記されています

“○552年仏教伝来と共に経典として百済より中国の文字が広く伝わる
 それ以降日本の書物、特に国の史書六国史、『日本書紀』『続日本紀』『日本後紀』『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代実録』なども中国の文字である漢字で書かれている
○言語としての日本語は中国語とはまったく異なっているのになぜ?”
と矢野先生も疑問として投げかけていますが、ここでも分かるように、奈良時代になる頃までは、漢字の使われ方は、今の仮名文字と同じように、文字そのものに意味を持たせずに、音読みとして使われていました。

それが、奈良時代から平安時代にかけて、文字の使われ方が変化してきます。
特に、平安期の仮名文字が発達して以降は、その変化は目覚ましく、以下のような文字の読み方もされるようになります。

“面白い漢字表記と日本語
○朝光 → あさかげ
 なぜ光を影とよむか?”

「朝光(あさかげ)」という言葉では、朝日の光そのものや、朝日に照らされて輝く様子を表すために「光」を「かげ」と読んでいるのです。

“〇十六夜 → いざよい
 なぜ十六夜を「いざよい」というのか?”

「いざよう(猶予う)」が語源となっています。
「いざよう」とは、「ためらう」「躊躇する」「ぐずぐずする」といった意味を持つ古語です。
なぜ十六夜の月が「ためらう」と表現されるか? それは、十五夜までは毎日、月の出は早くなり、十六夜からは月の出が遅くなり始めるからです。

“○黄昏 → たそがれ
 誰(たれ)そ彼(かれ)が たそがれ に変化した”

同じ様な言葉に「彼は誰(かわたれ)」があります。夕闇である「黄昏」に対し、「彼は誰」は朝日が昇る前の薄暗い時間を指します。夕方の「誰そ彼れ」とは全く逆で、彼の方が先に来ます。

“○東雲 → しののめ
 篠(しの)の間(め)、奈良時代の民家の窓のあかり”

彼は誰の少し後の時間で東の空が明るくなり、篠で編んである窓から明るさが差し込む時間帯です。日の出直前のような状況です。

このように、仮名の発展以降の日本文学では、非常に情緒豊かな読み方が発展していき、文字そのものが遊びとなっていきます。続きは次回、来月号で紹介します。

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