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村松桂作品展「Natura naturans」

つやま自然のふしぎ館と現代アーティストの協働展示

津山市山下のつやま自然のふしぎ館で村松桂写真展「Natura naturans」が開かれている。
東京在住の現代アート写真家の村松さんの世界と、「つやま自然のふしぎ館」が所蔵する展示物やはく製などとのふしぎなコラボレーションが楽しめる、同館初の取り組み。
会期は11月4日までのロングランなので、不思議な空間でアートの世界を楽しんでみよう。



つやま自然のふしぎ館

つやま自然のふしぎ館(ふしぎ館)は、世界の珍しい動物のはく製を中心に、昆虫や貝類、、化石などを展示している自然科学の総合博物館。
展示総数は約二万点。
なかでも動物類のはく製は八〇〇体を有し自然界の神秘を体感できる。
創始者の遺志による本人の臓器をホルマリンの浸漬展示しているのは異色である。



展示作家の奥深い気持ちが伝わる

一階のフロアに展示されたブルーの作品はアオイガイをモチーフにしたデジタルピグメントプリント。
アオイガイは世界中の温帯、熱帯の海を漂流しながら、時に貝の中にタコを抱き産卵、保育の場を提供するなど大らかに命を育むと言われるもので、生命の神秘を謳っている作品となった。
被写体はふしぎ館のものという村松さんは「メスしか抱かれないアオイガイを神秘的なイメージで表現したかった、柔らかいタコの体と、迷宮を思わせる硬い殻の異質はまるで思い出せない夢のように私の心を奪うんです」と話す。
美しいブルーの作品はぜひ会場で観賞して欲しい。



コンセプトは目

今回の展示は「目」と「植物と動物」の2シリーズで構成されるが、階段の踊り場などに数点の「目」が展示されているのでじっくりと見てみるとよい。
初めにタネを明かすようだが、今回展示されている目はすべてはく製の目「はく製は体や毛並みなどは本物を使っていますが、目はガラス玉などでできています、その目に私は彼らが生きているしるしが見えるような気がしています、そして彼らに見られているような気がします」。
シンリンオオカミの目には透明感があり北米の景色が見えているようだし、カナダオオヤマネコの目にはカナダの針葉樹林が見えている。
展示された「目」に注目してはく製たちの目が語りかけてくるストーリーに心をかたむけてみよう。
それに映し出された自分を見る事ができるかもしれない。



動物の横顔と植物

はく製になった動物たちと、生息地にあった植物をコラボレーションするデジタルピグメントになった「植物と動物」シリーズは、動物たちが生きていた時に身近にあったと思われる植物を画面で一致させることによって、彼らの生命への尊厳が見える作品。
動物たちの横顔は無邪気にも見え哀愁を帯びている、何らかの理由があってここ津山の地ではく製になった彼らにふるさとのシーンを見せようと村松さんは生息地を研究し植物を探し、写真の中で出会わせていったのだ。



ロングランで展示している

博物館めぐりが大好きで、アイルランド、ダブリンの博物館が一番好きという村松さん。
つやま自然のふしぎ館を訪れた時には「こわい」という感覚を持ったという、その後「こわい」の気持ちが「感動」に似ていることを自ら感じ取った。

村松さんは、二度にわたってふしぎ館を訪れはく製や標本と同じ空間を共有した。
村松さんの作品を通じて多くの展示物の声を聞きたいと思わせる、自然史博物館と現代アーティストの協働による作品展。
不思議空間と不思議なアーティストによる不思議な世界を、多くの人に体感してもらいたいと願っている。

つやま自然のふしぎ館
津山市山下98-1
電話(0868)22-3518

●開館時間
9:00~17:00
入館は16:30まで

●休館日
3月、7月、9月/毎週月曜日
1月、2月、6月、11月、12月/毎週月・火曜日
※その他の月および祝日は開館
年末年始(12月29日~1月2日)

●入館料
・つやま自然のふしぎ館
大人             700円
小・中学生       600円
幼児(4・5歳)   400円

・民族資料館
大人            700円
小・中学生      300円

・両館共通
大人           1,000円
小・中学生       700円

※団体(20名以上)高齢者(70歳以上)障がい者割引あり

開館時間、入館料などは上記の通り
*同館では「友の会」新会員を随時受け付けている、中学生以上なら誰でも入会でき、併設の「歴史民俗館」に無料で入館できる。その他の特典もあるので、問い合わせてみてほしい。

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