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新型コロナウイルス感染拡大による休校延長について

津山市教育委員会に聞いてみた

新型コロナ感染症の渦中、津山市でも4月後半に相次いで2件の感染確認者が出た。
また5月1日には、全国に発出されている「緊急事態宣言」の5月末までの延長が表明されることとなった。
そんな中、津山市では学校の休校を緊急事態宣言発出時より行っている。
そこで、市立の小中学校を管轄している津山市教育委員会学校教育課にアットタウンが突撃電話取材を試みた。

取材日は5月1日、「緊急事態宣言」の延長が報道されたその日になる。
文部科学省や県教育委員会のなかなか明確な判断根拠も示されない中での日々が続く。
今まで誰も経験したことのない事態に思いと現実が異なり、毎日ギリギリの中での判断をしなくてはならない。
保護者の間からは、様々な意見が聞こえてくる。
「健康や命を守るために学校は休みにするべきだ」
「こどもの教育機会について、どう考えているのか」
立場や考え方によって、寄せられてくる意見は様々だ。
そのように一見相反する意見にも、市教育委員会は園児、児童、生徒の健康安全を第一に、日々の変化する状況や国や県の動向を注視しながら、慎重に対応を検討する。

 他県や他の自治体などでは、感染者の風評(噂のような根拠が明確でない情報)が、こども間でのイジメに発展しているケースもあると聞く。
直接的な感染の問題だけではなく、噂などでおこる二次的問題も深刻だ。
最終的には「園児、児童、生徒の生命と健康が何よりも重要で、そのためにリスクを、可能な限り引き下げる事を最優先として考えて判断しています」と語った言葉の力強さが印象に残る。

今回、取材した日に津山市教育委員会から「教育長コメント」として文章が出された。
教育委員会の文章なので、以下でそのまま引用することにする。


5月1日(金)臨時休業を延長するに当たって先日、津山市内でも感染者が確認され、未だ感染経路が不明であることや、全国的に感染拡大が収束したとは言えない状況の中、この段階で休園、休校を解除できる状況にないと判断し、園児、児童、生徒の命と健康を第一に考え、5月9日(土)~5月31日(日)まで、臨時休業を延長することといたしました。
 臨時休業の延長に当たっては、園児、児童、生徒の不要不急の外出をさらに控えるとともに、児童生徒の学習意欲の低下を防ぐため、家庭学習の適切な提供を行うこと、児童生徒の学習状況や園児、児童、生徒の心身の健康状態の把握を行うこと、学校再開後に習熟度の把握を行うこと等を指示いたしました。
 今後は、臨時休業等延長に対する代替措置として、夏期休業期間の短縮等について検討し、学習の保障に取り組んで参ります。
 また、本市で最初に感染が確認された際には、感染者に関する根拠のない誤った情報が流れる事態となりました。正確な情報に基づいた冷静な行動を取っていただくようお願いいたします。


 教育長文章として出されたものは、取材で聞いていた通りの、園児、児童、生徒の命と健康を第一に考えることを最優先に、学習の保障に対し配慮したものだ。
 また、同時に学校長に対して別添資料として出された「臨時休業期間中の児童生徒の指導について」についても教育長コメントと同様に以下に紹介する。
 これは、教育長コメントに沿って、実際に行う具体的方法が掲載されているので、合わせて目を通して頂きたい。


別添資料 臨時休業期間中の児童生徒の指導について

1 家庭生活について

(1)児童生徒の健康・安全と感染症防止の観点から、不要不急の外出の自粛を徹底する。例えば、カラオケボックス、ゲームセンター、ファーストフード店など、3密(密閉・密集・密接)が考えられる場所への往来は絶対に控え、感染回避対策を徹底する。
(2)校区内の定期的な巡回や家庭への連絡などにより、児童生徒の日常の生活状況について把握し、必要に応じて臨時休業の意図を伝え、行動を自粛するよう指導する。
(3)(1)(2)については、地域、保護者にも協力を要請する。
(4)健康保持の観点から、「改訂版 家庭学習計画と生活の記録」(別紙参照)を活用し十分な睡眠と規則正しい生活を心がけるよう指導する。
(5)休業期間が長期化する中で、特にスマートフォン等の長時間使用による生活習慣の乱れや昼夜逆転には注意を払い、声かけ等を行う。


2 家庭学習について
  「臨時休業中の家庭学習を充実させるために」

(1)「改訂版 家庭学習計画と生活の記録」を活用し、計画性をもった家庭学習を課す。
(2)主たる教材である教科書及びそれと併用できる教材等に基づく家庭学習を課す。
(3)家庭学習のねらいをもち、内容によっては、再開後の授業に活用していくことを計画しておく。
(4)家庭学習と再開後の学習内容の関連について、児童生徒にわかりやすく伝える。
(5)課題を提出させ励ましのコメントを添える等、児童生徒にフィードバックする。
(6)再開後には、習熟度の確認を行い、必要に応じて、補充学習等の措置を講じる。


3 臨時休業期間中の
   学習状況や健康状態の把握について

(1)臨時休業中、最低週1回、登校日を設定するか、家庭訪問、電話連絡等を実施し、児童生徒の学習状況や、心身の健康状態の把握を行う。なお、登校日に際しては、分散登校、時差登校等、3密を避けるための工夫を行う。また、分散登校、時差登校等に伴う児童生徒の登下校の安全を確保するため、保護者、地域見守り隊等へ協力を要請する。学習については、学校再開後に習熟度の確認を行い、必要に応じて、補充学習等の措置を講じる。
(2)スクールカウンセラー等と連携し、学習に不安を感じたり、家庭生活にストレスを感じたりしている児童生徒の心のケアに当たる。
(3)根拠のない不正確な情報による誹謗中傷、差別やいじめが起こらないように指導する。


 このコロナ禍が続く中、学校教育における常識が根底から揺らぎ、誰もが正解を導き出せない中、収束の日まで津山市内8000人の児童生徒と800人教職員にとって何が一番最善なのかを、慎重に考え判断を行う日々が続く。

一刻も早い新型コロナ感染症の収束を願うばかりである。

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