涼華さんは、普段は地元の総合病院で診療放射線技師をしながら編集長もこなしている、すこぶる才女なのだ。
彼女は、マスターにラスティネイルをオーダーした。
マスターは手際よくスコッチ・ウィスキーとドランブイをステアして、彼女に丁寧にポーカーフェイスで差し出した。
「マタタビさんはJAZZの誰の曲がお好きなの?」ラスティネイルをチビリと飲みながらそう言った。
『ウェス・モンゴメリーの「夢のカリフォルニア」です。』小生は、またもや少々かっこつけながら答えた。
『トリックというのはね、言うなれば逆算すればいいのよ。あそこにレコード盤があるじゃない?最後に、貴方の好きなウェス・モンゴメリー「夢のカリフォルニア」がかかるように逆算してゆく訳……』
小生はその鋭い感性に、ひょっとしたら直波賞受賞作家のペンネーム浅瀬リョウさんって、浅原涼華さんのことなのでは!?と、思い始めていた。
そして徐々に、サスペンスのトリックより、今日初めてお会いした涼華さんのことが気になって仕方なくなりだした……
結局、サスペンスのトリックが何も思いつかず出版社の担当者や皆さまを裏切ったのは、この残念な、小生、マタタビニャンキチです……
ごめんなさい……。
参考カクテルレシピ
ジン・トニック~ニャンキチVer.~
ジン 45ml
ジンジャービアー(正式なジン・トニックにはジンジャービアを使用します。) 100ml
キウイの絞り汁(キウィはマタタビ科なのです。) 15ml
以上をステアします。
ラスティネイル
スコッチ・ウイスキー 40ml
ドランブイ 20ml
以上をステアします。
猫多川賞受賞作家マタタビニャンキチ先生物語 第一章 裏切り者はJAZZBARにいる――(後編)
2019年07月22日