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仙人からのでーれー贈り物(前編)

2019年06月21日

麗らかな小鳥が囀(さえず)るある夏の日、ひとりの女がはるばると津山から久米に住むと言われていると仙人の元を尋ねました。
女の足には道中は険しく山に入ると昼をも薄暗い中、「ハァハァ」息を切らしながらながら何とか山を登りきり、ようやく仙人を探し当てることができました。

仙人に巡り合えたその女は「グッタリ」しながら仙人に、こう相談したのです。

「仙人さま、私は後妻なのですが、私の旦那の前妻の娘が憎くて憎くてほんとうにたまりません。
主人には驚くほど可愛げがあり懐いているのですが、私にはまったくなつかないのです。おまけに私の陰口ばかり主人に言っているそうなんです。」

それを訝しげに聴いた仙人は答えました。
「ほう、それでおまえさんは、その娘をどうしたいのかな?」と、

女は答えました。
「いっそのこと、誰にも気づかれないように殺してしまいたいです。」と、

仙人はしばらく「ふむふむ」と考えて、女にこんもりと白いなにかを袋に大事そうに入れて渡してやりました。

「うーむ、不憫(ふびん)じゃのう。しかし、そう思うのなら仕方あるまい、これは薄められた猛毒じゃよ。
これを毎晩その娘さんのご飯にほんの少しづつまぜなさい。この毒をすべて食べおわる頃には、その娘は自然に亡くなるじゃろうて。」

「ただしじゃな、毒を食べ残すことのないようにご馳走をつくることじゃ
これは遙々わし以外誰もおらん、ここにわざわざと尋ねてくれたおまえさんへの贈り物じゃよ」

と仙人は言い、女はそれを受け取り、心からお礼を言いました。
「さっそく、今夜からご馳走をつくり毒をほんのすこしづつまぜます」と。

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