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本歌取り歌を@歌壇に詠進してみた。

 自分で、様々な歌の形に挑戦する中で、この度、本歌取りの歌をアットタウンに詠進しました。今回は、その中で、本歌取りの難しい点や注意が必要な点について書いてみます。

 本歌取りで最も重要なのは、この歌が本歌取りであるということが、読み手に分かることだと感じました。元歌の背景、そこから来る情緒や歌の意図などを引用してくることで、歌の幅を広げることが出来るのが本歌取りです。
本歌取りであることを、気付いてもらえないと全く意味がありません。
そこで、多くの人が聞いたことがあり、ネットで検索した際にも解説などがある歌を本歌取りの題材とすることとしました。
幸い、私も多くの歌を知っている訳ではないので、知っている歌のほとんどが有名な歌です。案の定、冒頭の2句をネットで検索すれば、解説ページがわんさか出てきました。
5句によって成り立っている歌の形式ですが、かつて藤原定家が、3句は取りすぎで、「2句しか違わない」と苦言を呈したそうで、それ以降2句までしかとらない風習となってきたようです。
 さらに本歌取りであることを分かりやすくするために、冒頭からの2句を、元歌のそのままの配置で引用するようにしました。
歌に対して詳しい方が少ない、ということを前提に、全てをわかりやすくすることを基本として考えました。

 また、本歌取りは、歌のそのものについても、分かりにくくなります。
本歌取りは、過去の有名な歌を取りますので、現代口語を使用する今の現代短歌の中に、古典和歌の場合は古語、近代短歌の場合文語などが入ってしまいます。
ここで気を付けたのは、言葉そのものが違うので、聞いただけで、現代口語しか知らない人でも、ある程度、意味が分かる句を選ぶことです。
ある程度でも、分かれば今の時代ならではのネット検索で調べてもらえます。
それと同時に、使う言葉によって歌のリズムも変わってきます。やはり、古語と現代語が同居することで分かりにくさが出ますが、これは、枕詞のある句を使用することで、実質の引用する句を1句とすることで、違和感を少なくするように努めました。

 今回の詠進を打診された際に、深い思いもなく、思い立って本歌取りにチャレンジしてみたものの、実際に詠んでみて、それなりに手を焼きました。
しかし、このようにゲーム感覚で、難しいゲームをクリアするかのように、歌を詠むという楽しみ方があっていいのでは、と思っています。
今回の感想を皆さんと共有することで、表現方法としての歌としてでなく、言葉遊び(言葉ゲーム)としての歌として、再発見してもらえると、おもしろいと思い、今回、このページを書かせて頂きました。

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