アットタウンWEBマガジン

俳壇 「故郷と俳句と私」

2019年08月10日

(1)湯浅芳郎
暑い夏も終わり八月八日は立秋です。そろそろ周りに「小さい秋」を見つけましょう。

天高し尖り帽子の村役場


小生の住んでいる真庭市美甘地区の隣村、新庄は出雲街道の宿場町として栄え、今は「メルヘンの里」と言われ美しい村です。
村北方の笠杖山に因んだ「笠杖俳句会」があります。有名な凱旋桜の町の通りには、俳人 黛まどか氏の句碑「峡の日をのせて漂ふ花筏」があります。
小生の句、村の句会に参加した時の挨拶句です。


流灯の揺れて別れを告げゐるや


お盆は八月十五日の夕方または十六日の朝早く、精霊を送る。

手から離れた瞬間、流灯はこの世のものではない。

流灯のほんの少しの動きも、あの世に還る親しい人の別れの合図と捉える。広島市内、太田川河畔の情景。


秋刀魚泥棒白状はせぬつもり


食欲の秋、食べ物がおいしい季節です。
それが人間だけだと考えるのは人間の傲慢でしょう。

猫は決して白状しない。

口を動かしながらすまし顔で平然と歩いているのが可笑しい。


湯浅芳郎さん略歴

1944年 岡山県真庭市河内生
2001年 朱雀俳句会(奈良)入会
2009年 句集『天帝』出版
     日本自費出版文化賞受賞
2012年 樹林俳句会創立
     『樹林』創刊・編集・発行人 

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