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注連山(しめやま)の物語を表現し伝えていく

真庭市落合地域にあるしめ山(標高約320メートル)は落合小学校の裏手にある地域住民の心のよりどころだ。昔から牛頭天皇(ごずてんのう)が鎮座された場所として大切にされてきた山でもある。
その注連山を舞台に忘れかけた人々のやさしさやふるさとの大切さを伝えようと、脚本家の瑠音(るね)さんのオリジナル作品をミュージカルに仕上げた。
 *牛頭天皇はスサノオと習合して疫病退散・除災招福の神として崇められた。


そらさくら(宙桜)
2015年に結成された落合シニアミュージカル「そらさくら」のメンバーは13人。
名称は、練習の拠点としている落合総合センター前ですくすくと育っている醍醐桜二世の桜にちなんで名づけられた。
「メンバーは自営、教師、現役を退職した人などさまざま。
今は9月に高齢者の施設で発表する作品を練習しています。
大道具小道具づくりなど真庭しめ山プロジェクトのみなさまの協力が心強く大変感謝しています」と細井紀子代表。
練習はゆっくり時間をかけて準備運動のストレッチをする。
その後発声練習滑舌(かつぜつ)の練習は皆まっすぐに顔をあげ正しく大きく口を開け、美しい声で発声する。
あごの骨格や頬の筋肉の動きが顕著に見えるほどだ。


しめ山 今と昔の物語~お地蔵様探索顛末記
 演じる人たちの中で、ひときわ重要な役目をするのがナレーターだ。
今回のナレーターは井手恵子さん、声色を使い分け間(ま)の取り方が絶妙。
物語を導くという大役に「一人一人になりきて声の高低を使い分けているがなかなか難しい、以前に演じたミュージカルでの皆のセリフをイメージしながらがんばって行きたい」と話す。
倭(やまと)くんという子どもを演じる小林裕美さんは「倭くんはとても心のやさしい子ども、素直でやさしい倭くんを表現したい、それぞれの役割でいかに表現できるかを見てください」と真剣に役作りに取り組んでいる。

物語に託す思い、スサノオのみこころ
脚本・演出の瑠音(るね)さんは、場面場面で感情を目線で表す、体のひねり方、肩をすぼめて伝えるといった細かい所作までみっちりと指導する「鑑賞していただいた人たちが、スサノオノミコトのみこころを感じ取ってくれたらうれしい」。
子ども、老人、お地蔵様などキャストは多彩だが、どの動きもしなやかで優しさにあふれている。
「そらさくら」の思いが多くの人の心に響きますように。
「人の世に生きるよろこび見出して、愁いも挫折も学びゆえ、自然をうやまい謙虚な心、スサノオのみこころを思い出そう、清く正しく睦まじく、強くすべてを生かし伸ばし育てよ」(ミュージカルの一節より)


メンバーを募集しています
「そらさくら」ではメンバーを募集している。
「練習は毎週水曜日の午後7時半から9時半、場所は落合総合センターです。今後も子どもから大人まで楽しんでいただける公演などがあるので一緒にやってみましょう。
基礎練習から取り組むので初心者でも気軽に声をかけてほしい」と細井さん。
 申し込み、問い合わせは細井さん(090ー3881ー4885)。



取材を終えて
真庭市の合併により、落合地域は重要な施設などが地域からなくなっていくという空洞化が懸念されていた。そんなときに立ち上がった、シニアミュージカル「そらさくら」。
しめ山を題材に仕上げたミュージカルは中年老年層の人たちには、昔、あの山で遊んだ記憶が呼び起こされるかもしれない。
学校の裏山に、こんなやさしい物語があるなんてと小学生はいつも見慣れた山を誇りに思うだろう。
落合地域を大切に思っている多くの人により「しめ山はよみがえった」そう思えてならない。またシニアと言われる円熟した年齢の女性たちが劇団を立ち上げ地域振興に貢献しようというのだから、女性の本来持つ「巣を守る本能・家族を守る本能」が「地域を守り育てる」ことに形を変えているのではないかと思える。

昔々、綿くりばあさんらが一体ずつ運んでいったとされる石仏たち、今、時代を超えて綿くりばあさんの思いが地元の女性たちによって掘り起こされたことは・・・奇跡。




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