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OKUTSU芸術祭に初参加の工芸作家

鏡野町 山野ウサコさん

 今年開催されるOKUTSU芸術祭に、ランプシェードを作っている新人女性作家が参加するという話を聞き、作品の写真を送ってもらった。そこには、『かずら』を桟に使った洒落たランプが写っていた。早速、取材のアポイントを取り話を聞くことに決めた。
ということで、今回の取材は、ランプシェードの工芸作家『山野ウサコ』(アーティスト名)さん。




 まだ30代の山野さん、元々は大阪生まれの大阪育ち。1人暮らしをしていたが、5年前に仕事で岡山に引っ越し、昨年、母親の実家である奥津に移住してきた。
両親は絵を描いたり、物を作ったりするのが好きだったそうだが、当時の『ウサコ』さんは物づくりに興味がなく、関わってこなかったという。
そんな状況で、なぜランプシェードの制作を始めたのか、そのキッカケから聞いた。
ベトナムに旅行に行ったときに、ホイアン旧市街の小さな店が軒を連ね、街中がランタンで飾りたてられている光景に感銘を受けたのだそうだ。




同じように川が街の中を流れる奥津の街を、ホイアンのように飾り付けられたら、「奥津に、もっと多くの人が集まるのに」と考えていた時に、山野さんのお父さんが作っていた『ランプシェード』を思い出した。これなら、ランタンのように光を入れて楽しむこともできる。自分も作りたいと思ったのが最初だった。




 最初に制作を始めるキッカケから書いたのは、山野さんのもう一つの面、『バックパッカー』として旅をする『山野ウサコ』さんについても紹介したかったからだ。
旅は主に東南アジアが中心となっている。宿泊するホステルで知り合った人と、情報交換をしながら翌日の行動計画を変えるなど、自由な旅ができることがバックパッカーの魅力だ。
一回の旅行は、短い時は1週間くらい、長い時は数か月に及ぶこともある。東南アジアが気に入った理由としては、カリカリしないホンワカとした雰囲気と綺麗な街並み、そして現地の人と触れ合った時に感じる人間性。マレーシア、タイ、バングラデシュなど、何カ国も旅してまわったが、特におすすめはベトナムだ。現地の人と仲良くなり、今も交流があるという。




 まず、バックパッカーとして旅をすることで大変なのは、言葉の問題。しかし、上手くなくとも英語が喋れれば何とかなる。どうにもならない時は、スマホを使ってWEB翻訳ツールで伝える。これも完全ではないが、汲み取ってあげようという心遣いがあるので、伝えたい意図は充分通じるのだそうだ。
多少の障壁がある方が、お互いに分かり合おうとする姿勢になり、仲良くなれることに気付いたという。
山野さん自身、バックパッカーをすることで、自分の考えも変わり、どちらかというと引っ込み思案だった性格も積極的に変化してきたという。
 昔は、ランプシェードを作って、ホイアンのランタンのように、あちこちに飾りたいと思っても、一歩目が踏み出せなかった。「器用に何でもこなす両親のようにはなれない」そんな思いが先立っていたのだ。
それが今では全く違う。
思いついたイメージを元にランプシェードを作り、SNSで公開するなどもしている。
最初は自分で作って飾るだけだったが、『売ってくれるのか』との問い合わせが立て続けにあり、さらに自信をつけた。
 今回のOKUTSU芸術祭への出展




についても、自から問い合わせをするなど、積極的にアプローチした結果だ。
旅をするようになってから、積極性だけではなく、物に対する見方や価値観も大きく変わったという。今まで、知り合って関わった人、その出会いの全てに意味があるのではないかと考えるようになった。いくら嫌な思いをした人でも、その人との関りがあって、他の人と知り合ったり、自分の考えについて見直したり、そこに、縁があって今が起きていると感謝の気持ちを持つようになったのだそうだ。





 ランプシェードの作品は、蔓で骨の部分を作り、そこに染を入れた和紙や様々な布を貼っている。
想い出の着物が虫食いで傷んだので、そのハギレで制作してほしいとの依頼がきている。着物の分厚い布で光がとおらなくても、オブジェとして飾れる。また染め和紙との組み合わせで、和紙の部分だけ光を通すようなシェードもできる。どのような作品にするかは、お互いで話し合って決めるのだそうだ。これも、縁があって今が起こるという思いから来ているのかもしれない。




奥津の街に、ランプが溢れるような街並みになることを期待したい。
最後に、山野ウサコさんの作品と旅行のInstagramアカウントを紹介して記事を締めくくることにする。

https://www.instagram.com/usako_yamano/

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