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日本の民衆文化 盆踊り

読者の皆さんも夏になると楽しみにしている行事の一つに盆踊りがあると思います。
今では、夏祭りや盆踊りイベント等で踊られていますが、元々は宗教行事でした。
そのことは、岡山の県北では真庭などに『念仏踊り』が残っていますので、ご存知の方も多いと思います。
今回は、今や身近となっている盆踊りのルーツを書いてみたいと思います。
念仏踊りとあるので、すぐ、わかると思いますが、元々は仏教の行事です。
仏教の中でも、色々宗派がありますが、浄土教と言われるものが始まりだと言われています。
そもそも、浄土教とは阿弥陀仏を信仰しますが、中国の善導大師という僧侶が称名念仏といった教えを説いたところから始まります。
口から阿弥陀仏が出ている仏画で知っている人もいると思います。称名念仏とは、簡略化すると南無阿弥陀仏と唱えるだけで、死後に極楽にいけるという教えです。
これを日本で最初に広めたのが、平安時代の中頃にいた比叡山の僧侶、空也さんです。ちなみに、空也さんの仏像も善導大師と同じように、口から阿弥陀仏が出ています。
この空也さんが、称名仏教を広める際に、踊り狂う様に念仏を唱えたのが、盆踊りの始まりだと言われています。
その後、平安時代後半には、源信さんという僧侶が、阿弥陀仏を思いながら念仏を唱えるという新たな称名仏教を説きます。これにより、ただただ唱える称名仏教は、阿弥陀仏への思いを伴った称名仏教に変化していきます。そのため、踊りながら念仏を唱えることも、下火となっていったのでしょう。
平安末期から鎌倉時代にかけてになる頃に、岡山県北の生んだ宗教界のスーパースター法然さんが現れます。
しかし、法然さんは盆踊りと関係ありません。関係あるのは弟子「証空」の孫弟子にあたる一遍さんが登場してからです。
空也さんを尊敬してやまない一遍さんは、「念仏が阿弥陀の教えと聞くだけで踊りたくなるうれしさなのだ」と話し、再び踊念仏を広めます。
それが、変化しながら庶民に普及し念仏踊りとなり、さらに世俗化して、今のような盆踊りと変化しました。

が、阿波踊りのように行進して踊る踊りが多くありますが、本来盆踊りは、輪になって踊るものです。
今では、お盆などにも行進する踊りを踊る地域もありますが、こちらの踊りの起源はハッキリしていません。
一説には室町の時代からあるとされています。
歴史はどうあれ、お盆に行われる日本の伝統的風俗行事である盆踊りを、楽しいイベントとして楽しんでもらいたいと思います。

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