冬陽ざしのびて部屋中覗き込む 我ものびのび映ろふ日中堀内 あい子●以前、ある短歌大会の総評で擬人法を...
森芸に数多の人波ざわめくも 会期果てれば黙(もだ)な町並稲垣 晶子●「森芸」は昨年の令和六年、三年も...
花便り季をめぐり来し石蕗(つわぶき)のいまを盛りに群れ咲ける庭宰務 とき子●まさに晩秋の庭を一際彩る...
つつましい幸福茄子の花言葉 因みに好きな色は茄子紺神崎 民枝●作者の夏野菜である茄子に対する熱い想い...
日焼けした男(お)孫の笑顔歯の抜けて 僅か背も伸び夏は終りぬ山本 見佐子●お孫さんへの何とも言えぬあ...
疲れたと言(ご)ちつつ今日も書斎へと夫の遺愛のソファーに横たふ河野 澄江●「疲れたと言(ご)ちつつ」...
愛用の剪定ばさみまた失くすこんな所にうっすら錆びて神崎 民枝●作者は草花を育てることが殊の外好きで、...
盛り過ぎし真紅の薔薇の妖艶さ 水無月半ばの風 散らしゆく川上 悠子●短歌は基本的には一人称で詠まれる...
道産子のスズランの花忘れずに 春盛りなり白花(びゃっか)競演信清 博史●北海道産のものを「道産子」と...
芽のうごく庭木の梢ひかりゐつ 昨夜(よべ)の春雨たっぷり吸ひて河野 澄恵●素晴らしい印象派の絵画を見...
西、東、戦火の報聞くいたましさあの黒煙の下にひとびと橋本 眞佐子●万葉集はその大半が愛する人を想う相...
一日の終わりを告げる夕焼けを 追いかけるごと冴ゆる三日月福島 明子●この詠草を手許に頂いた頃は、立春...