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津山市文化協会 文化講演会

 この12月の20日に、津山市役所で津山文化協会副会長の矢野康史さんが、文化講演会を行います。
矢野先生と言えば、アットタウンの歌壇コーナーを、見てもらっている人気の先生で、普段でも、博識でとても面白くお話をしてくださいます。
今回の講演会の内容は、日本のことば遊び文化と、日本文学を作った6人の女性たちについてという、今流行りで、とても興味深い内容なので、講演会について、もう少し詳しい話を聞いてみました。

 今回の講演会は、日本語の魅力について、言葉の成り立ちから発展までと、言葉遊びの具体例を挙げながら、紹介し面白さに気付いてもらうというのが一点。そして、もう一点、日本語の幅を広げ、日本文学を作ってきた仮名文字と、平安の御世、その仮名文字を、はぐくみ育てて来た6人の女性作家についてに絞ってお話しされるようです。

 まず、一点目の、『言葉の成り立ちから発展までと』と書いても分かりづらいので、いつも矢野先生が言われる話を書かせてもらいます。当日も矢野先生が、この話をされたら申し訳ないのですが。
皆さんは『黄昏』という言葉を知っていますか?薄暗くなった夕方のことを『黄昏時』と表現しますね。
ではなぜ、夕方の暗くなった時間が黄昏時なのでしょうか?これは、「誰(た)そ彼(かれ)」が黄昏となったと言われます。「暗くてよく分からないけど、誰?あんた」といった状態ですよね。逆に朝まだ薄暗い時間帯のことを『かわたれ時』といいますよね。
こちらの語源の方は、『彼(かれ)は誰(た)れ』となるんです。意味はもう分かると思いますが、「暗くてよく分からないけど、あんた誰?」朝は彼が先で、晩は彼が後。朝夕で入れ替わっただけなんです。
こんな話などを、例として挙げながら、色々と日本語の奥の部分の話をされるのでしょう。




 そして、もう一点の、『仮名文字を、はぐくみ育てて来た6人の女性作家』こちらの方は、いまNHKの大河ドラマで放送している『光る君へ』で注目を集めている時代でもあります。
注目を集めている時代だからこそ、受け入れやすいのではという感じで今回取り上げられるのだろうと、邪推しています。しかし、この時代の女性が、仮名文化を発展させたおかげで、今の日本の文学があると言って過言ではなく、この後の足利義政の時代でさらなる発展を見せるまで、この仮名を使った和歌や物語などの文学が、形を変えず全くそのままで続いて行きます。

 その6人の女性について簡単に紹介します。
まずは、日本の女流文学のパイオニアになる藤原道綱母。
日本初の日記文学『蜻蛉日記』を書き上げ、後の『清少納言』や『紫式部』らにも強い影響を与えた、云わばブログの母でもあります。
そして2人目は、一条院皇后 定子に仕えた宮中生活を中心に、名所や自然鑑賞など、貴族の生活、四季の行事など記したエッセー集『枕草子』を書いた『清少納言』です。
3人目は、ご存知の『紫式部』。東北院 彰子に仕えました。著書の『源氏物語』は、全54巻の長編物語で光源氏を主人公に宮廷貴族たちの生活を、男女の恋愛を中心に、優雅に描いています。
4人目は、『和泉式部』。紫式部と同じく、東北院 彰子に仕えました。紫式部をして和泉式部の天賦の才を羨む評が残っている程の文才の持ち主です。和歌などが多く残りますが、恋物語の『和泉式部日記』もあります。
5人目は、『赤染衛門』。歴史物語の『栄花物語』で知られ、また、『勅撰和歌集』などにも和歌が残っています。
最後の6人目は、『更級日記』で有名な菅原孝標女。彼女は『藤原道綱母』の姪に当たります。
回想録として書かれたこの作品は、江戸時代に庶民に流行り、多くの人に読まれました。

 矢野先生が、この6人の女性をどう紹介し、日本文学へもたらした影響について、どう分析して話をされるのか、非常に興味津々です。
実は、矢野先生とは従前より、日本文学を含む日本文化などについて、日頃から歓談していました。
毎月、アットタウンの歌壇コーナーの隣のページで、日本の和歌の修辞法やその他の古文学、現在の言葉遊びや民衆風俗や貴族文化などについても書いていることも、その一環です。
お話では、今回の講演では深い話をすると、難しくなるので、出来るだけ簡単に、興味を持ってもらえるような話をしたいとのことでした。
平日の昼間ではありますが、皆さん、是非講演会に足を延ばして頂き、バラエティー豊かでボキャブラリー満載の日本文学や日本文化の一片に触れてみてください。


それでは講演会の概要をお知らせします。


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