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日本の三大芸道 香道

 以前、このコーナーで香道と和歌(やまと歌)の関りとして、双方の深いつながりを書きましたが、その際には、香道のルールを中心に書いたため、今回は、香道文化の歴史や、道具について書いてみようと思います。


 香道は茶道、華道、と並び、日本の三大芸道とされています。
香木を用いた焚き香の文化は、古代より続くもので、仏教の伝来と共に始まりました。
それが平安時代になると、宗教的な儀式だけでなく、衣服に香りを纏ったり、香りを楽しむために広く用いられるようになりました。
さらに、鎌倉時代に入ると、この香りを楽しむ文化は武士階級にも広がり、禅宗と結びつくようになりました。
そして室町時代には、三条西実隆や足利義政に仕えた志野宗信によって体系化され、茶道や華道と並ぶ芸道の一つとして誕生しました。
志野宗信の子孫により引き継がれていくものを、武家流派である志野流として、三条西家に伝わるものを公家流派の御家流として、二大流派が形成されていきました。

貴族文化を基盤とする御家流では、香の道具に華やかな蒔絵を施し、作法は比較的緩やかで、のびやかさが特徴です。
一方、武士文化に根ざす志野流は、禅の精神を重んじるために簡素を旨とし、木製の道具を用います。
香道においては、香木や香炉に加えて、銀葉挟〈ぎんようはさみ〉や香匙〈きょうじ・こうさじ〉、香筋〈きょうじ〉、鶯〈うぐいす〉、羽箒〈はぼうき・はねぼうき〉、灰押〈はいおさえ・はいおし〉、火筋〈こじ〉などの道具が使われます。また、香炉を置くための香盆や、香を入れる容器である香合なども幅広く使用されます。
惣包〈そうづつみ〉香包〈こうづつみ〉打敷〈うちしき〉地敷〈ぢしき〉銀葉〈ぎんよう〉などの小道具類も含め、多くの道具を必要とします。
本来であれば、全ての道具を上げて写真入りで、使用方法などの説明もできればいいのですが、紙面の関係上そうもいきませんので、ご容赦願います。

 さて、この香道、私が知る限り、津山を中心とした岡山県北地域で習える場所がないように思えます。また、ネットで探してみても、専門の道具を販売する店舗も、ありません。
さらに、日本文化の代表的な香道ですが、岡山市内での教室も多くないようです。
香木や道具に費用が掛かるため、多くの人が楽しむことが難しいことも事実です。
しかし、近年では、人工栽培の沈香もあるとのこと。さらなる生産技術が進み、誰でもが日本文化の香道を楽しめる世界が訪れるかもしれないと考えると楽しみでもあります。

そしてその香道と、切っても切り離せない和歌。
若者短歌や現代短歌、そして近代短歌も良いですが、和歌の言葉遊びの世界も、とても楽しいものです。
古語など難しい点もありますが、まず、目を通すところから始めてみませんか?

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