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チャレンジしよう若者短歌

 今、短歌ブームが巻き起こっていることは、この欄で何度も紹介している通りです。
若者を中心に、歌人と自覚する人以外でも、短歌を詠む人が増えてブームを巻き起こしています。
その若者が詠むのが『若者短歌』とジャンル分けされた短歌となります。
万葉歌から始まった短歌の世界も、古典和歌、和歌、近代短歌、現代短歌と進化し、現在最新の形が、若者短歌となっているのです。
過去に何度も書いているように、和歌と若者短歌を比べて優劣があるわけでなく、それは、近代短歌とでもそうです。
そこで、今まで、短歌を詠んだことがない人も、短歌をしている人でも、若者短歌を敬遠していた人も、食わず嫌いをせず、一度、詠んでみてみませんか?

 若者短歌と言えども、ルールは一緒で、五七五七七の三十一音で詠むことのみです。
これは、万葉歌から若者短歌の現在まで、全くの違いはありません。
では、カテゴリーが分けられるのは何故でしょう。
それは評価の仕方の違いです。
 まず、和歌なら古語を使います。それと同時に、修辞法を駆使して文章のエンターテイメント性を高めています。評価点として、特に大きなものはこの二つで、内容は身近なことを書き残すといった感じのものが多いです。
これが、近代短歌になると、言葉が古語から、明治期に文章を書くのに使われた文語体という文法を使うようになります。また、表現方法も、和歌の頃の間接的表現から直観的な表現となり、短歌のイメージが全く変わってしまいます。
このことから、近代短歌以前の短歌を和歌と呼び、短歌と区別する事があります。
この和歌と近代短歌の違いを見ても分かるように、三十一音の基本ルールは全く変わっていない、言ってみれば同じものなのです。

 それでは、今回チャレンジを進める若者短歌の評価点は、どのようになるのでしょう?
実は、万葉歌のころからつれづれを詠んで、短歌で当たり前のように要素となっていた、場所や時期などの、歌を詠んだ周りの状況を読み取れるものがなく、感情のみを表現しても、評価が下がることがなくなっています。
これにより、感情を共有することを短歌の中心とすることができるようになり、より若者に受け入れやすくなったのが、若者短歌です。
このように、若者短歌に挑戦することに敷居は無いのです。
とはいえ、今まで短歌をしてきていた人には、勝手が変わってしまいます。そこで感情を共有するということについて、もう少し詳しく書きます。
但し、現代短歌や若者短歌の場合は、例を出すにも著作権の関係があるので、説明だけで容赦願います。

 感情共有できる歌を若者は『エモい』と表現します。
このエモいはエモーショナルのことで、辞書では「感情に動かされやすい様子・感情的・情緒的」の意とあります。
ですので、苦しい、嬉しい、腹立たしい、楽しい、などの感情を全面に出すことが重要です。
その感情を直観的に表現せず、間接的に表現することで、生活感を消していきます。間接的な表現にすることで、共有できる人の幅を広げることができるからです。
季節感や景色等を詠み込むは、全く考えずに行ってください。これで出来上がるのが若者短歌です。
より多くの人が「ああー。これ分かる」と共感された歌がいい歌なのです。
「簡単そうで奥が深い、難しそうで取っつきやすい」これが若者短歌です。

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