フォーミュラ・アンダーセブンティーンレース開催
4月23日(日)、岡山国際サーキット(美作市滝宮)でフォーミュラ・アンダーセブンティーンのレースが開催され、若干十一歳(小学六年生)の野田樹潤(Juju)選手が最年少でフォーミュラレースにデビュー、ファステストラップは予選で記録した1分33秒991。抜群のタイムでポールポジションからスタート。そして見事ポールトゥウィンでデビュー戦を飾りました。
また同レースにはNODAレーシングアカデミーから岩澤優吾くん、清瀬若菜さんの2名がエントリー、新たに創設されたカテゴリー、初めて経験するフォーミュラでのレースと、初めてづくしのレースでしたが、3人とも堂々とサーキットを駆け巡りました。
今回のアンダーセブンティーンのレースに出場し見事優勝したJujuさんは、NODAレーシングアカデミー校長、野田英樹さんの愛娘。野田校長がこのレースに抱いている思いや、子ども達の育成に対するお考えを伺いました。
今回、アンダーセブンティーンのレースを開催された背景には、どういう思いがあったのでしょう
これまで十七歳以下の子どもたちがフォーミュラで実績を残す、公式の場で走れるといった機会はほぼありませんでした。
一部の特例はありますが、それには顕著な実績が必要です。しかしそんな実績を残そうと思えば、ハード面にかなり力を入れて臨まないといけない。そのためにはかなり多額の資金が必要ですから、仮に若くして才能があって、上に上がりたいという意思があっても、費用の面で断念せざるを得ないという状況があります。
ですが私は、本当にセンスと才能と意思があってがんばっている子ども達が、実力ではない理由で実績を残せていないというのであれば、もっと幅広く実力を発揮できる環境、そこにチャレンジするチャンスを与えられる機会があってもいいんじゃないかと思うんです。
そこで、岡山国際サーキットと協力して岡山国際サーキットレーシングスクール(OIRS)というフォーミュラを目指す子どもたちの教育の場をスタートさせました。ここでトレーニングを積んで、テストを受けてレースに出るだけの実力があると認められれば、年齢にかかわらずフォーミュラのレースに出られるチャンスを作ってあげようと考えています。
若いうちから経験できる方がいいと?
今やF1のドライバーも若い選手が多いです。それこそ十七歳でデビューした選手もいる。ヨーロッパでは十三・十四歳でフォーミュラの練習をしている例はざらにあるし、十五歳から公式戦に参戦しているという例もあります。さまざまな面で、日本でそこを目指そうという子ども達はかなり出遅れてしまっているという状況です。
そういうことを踏まえて、このアンダーセブンティーンのカテゴリーの取り組みを始めました。
OIRSでカートもフォーミュラもしっかりとトレーニングを積んで、テストで実力を認められれば、年齢云々ではなくフォーミュラでレースができるようなカテゴリーをスタートさせたわけです。
このレースに魅力を感じる子ども達が集まって、トレーニングとレースを行う中で経験を積み、お互いに切磋琢磨していける環境があれば、子ども達の実力がより高まっていく可能性が高まります。
今回のレースをきっかけに参加してみたいという子ども達がどんどん出てくればいいですね。
取り組み自体始めたばかりだし、そんな年齢でフォーミュラに乗っている子はほぼいないに等しいです。
例えば十台くらいのエントリーでレースを開催するというような状況になるまではしばらく時間がかかると思いますが、中学生くらいでフォーミュラに乗ってみたいという子が少しずつ増えてくる可能性は十分にあると思います。
とにかく継続していくことが大事ですね。
アカデミーの話題になりますが、今年からアカデミーでは短期の個別カリキュラムでの指導を行われるとのことですが、なぜ通年の指導から個別のカリキュラムに切り替えられたのですか
レースを、突き詰めて真剣にやろうと思えば、それなりのコストは当然かかります。
でも本当に突き詰めてやらないと、プロになれるほどでもないけど、知識や社会的経験にも乏しい、なんていう一番中途半端な状況になってしまう。
子どもにとってこんな残酷な話はないでしょう。
だから親として、子どもが本当にやりたいと望むのであれば、そこにお金をかけていく覚悟を持たなければならない。
仮にその子にセンスや実力がなかったとしても、そこまで濃密に時間とお金をかけていけば、早い段階で見極めもできる。
だから、本当に真剣にプロのレーサーになりたいという子ども達のために、その子の目指す方向に応じた個別のカリキュラムを組んで、高いレベルでそれこそマンツーマンで向き合いながら育成するという方針に転換しました。
スポーツの世界ではいろんなジャンルでトップアスリートがかなり低年齢化してきてますね
いろんな分野で、日本人が個人競技でも若くして成績を上げる時代になってきたし、そういう環境を作ってあげられる時代になってきましたね。でもいまだに子どものために一所懸命にやっていると親バカなんて言われます。
でも海外に行ったら、自分の子供に対して一生懸命やってるのは当たり前。だから個性が伸び、早いうちから実力も発揮していい成績を収めています。そこには当然みんなお金も時間もかけている。
それを真剣にやっていかないと、本当に世界に通用する選手は育たないです。
子どものために親がそれを覚悟できるかどうか、そこにかかっていると思います。
本日はありがとうございました。