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地域に溶け込む、お寺の若きお坊さん

曹洞宗 松隆山 宝樹寺 秋成さん

 鏡野町奥津地区、奥津温泉郷のすぐ近く、温泉スタンドから北西の山に向かい坂道をのぼる途中にある曹洞宗のお寺、松隆山 宝樹寺だ。現在開催中のOKUTSUアートフェスティバルの会場にもなっている。
今回は平成5年生まれの、まだ30歳と若い住職、秋成さんに話を聞いた。
秋元さんは、高校から曹洞宗の『總持寺』系の学校である鶴見大学附属高等学校に進み、大学も鶴見大学を卒業する。それまでは、奥津の野山を元気に駆けて遊んでいたという。




 この宝寿寺、OKUTSU芸術祭では、毎年開催会場に名を連ね、今年の芸術祭では地獄図を夜のお寺で公開する「ダークナイト・ミュージアム」の会場となる。同時にナイトコンサートも開催する。
お寺が有名になったのは、2枚の地獄絵図を所有していることから。
一枚は江戸時代に描かれたと伝わるもの、そしてもう一枚は、昭和に描かれたものだ。
他に極楽図も所蔵するが、やはりインパクトがあるのは、地獄絵図。
その2枚を見比べると、描かれた時代の違いから、地獄に対する見方の違いも見えてくるのだという。




実は、第1回のOKUTSU芸術祭が始まる前に実行委員長の辻本さんが、初めてこの地獄絵図を見た時から、地獄絵図を中心とした恐ろしい展示空間をイメージしていたのではないかと思えるのだそうだ。
このように、OKUTSU芸術祭に積極的に協力しているのは、奥津の地域に協力する為だという。
以前は、奥津地域でもこぶし祭りを始め、様々なイベントがあった。豚汁を振舞ったり、バケツ雪灯篭を作る雪まつりがあったりした。




しかし、豚汁は女性組織の人手不足で中止に、雪まつりは雪が十分に降らない為に中止に、など個々の事情からイベントが大きく減っていったのだ。
そのせいか町が寂しくなりだしたと感じていた。そんな中第1回のOKUTSU芸術祭の話がでたのだ。
「奥津地域にあるお寺として、何か協力をしたい」との思いから、会場として参画する話を二つ返事で承諾した。




 今年の奥津芸術祭で宝樹寺が受け持つのは、「ナイトコンサート」と「ダークナイト・ミュージアム」どちらも夜のイベントとなっている。実はイベントが夜なのにも理由がある。
地獄や幽霊と言った絵を掲示するのに、オドロオドロしい雰囲気を醸し出すのに夜が適していると言う事もあるが、実はもっと大きな理由がある。それは、他のお寺も兼務して住職となったため、昼間に留守となる時間が増えたため、夜のイベントとして協力することとしたのだそうだ。
本当は、時間を割いて芸術祭の映像素材を撮って、OKUTSU芸術祭のYoutubeアカウントに上げていきたいけれど、時間がなく、なかなかできないとも。





 このように地域と共にあるという姿勢で寺院運営をしている宝寿寺。
この号が発刊される前の10月8日には、~お寺でご縁 素敵な出会いと縁結びのサブタイトルで「カガミノデイト in 曹洞宗 宝樹寺」といったマッチングイベントも開催された。
こちらのイベントは、『一般社団法人 カガミノミライ』が企画立案と運営を行い宝樹寺が場所提供を行う形だという。
兼務寺ができ、昼間が忙しくなっても、場所提供はできるからということらしい。
しかし、何もしないわけではない。イベント開催前に祈祷や座禅を行うなど、お寺でイベントを開催することの意義を出すために、必要なことは行う。
それでも、全イベントを仕切るわけではないので、少しでも地域に貢献できればといった想いで、会場となることを引き受けたのだそうだ。





 また12月には、鏡野観光局が主催して写経体験会も開催する予定だという。
心を落ち着かせ、心も体もリフレッシュしてもらおうという企画だそうだ。
こちらも、宝樹寺は場所提供のみとなるのだが、写経をするお経を何にするか、写経用紙をどの様式にするのかなどの打ち合わせを行っているという。
今のところ、曹洞宗でよくあげる『舎利禮文-シャリライモン』の写経が最有力だそうだ。
体験ということで、初めて写経をする人が多いのではないかという予想をした結果、舎利禮文は72文字と非常に短く、早い人なら10分程度、遅い人でも20分もあれば書き上げられる。
今まで写経の経験がない人でも、集中力が続く短いものが良いだろうという心遣いからだ。また、経験がある人には般若心経など、やや長いものがあってもいいかもしれないと、只今検討中のようだ。

 このように地域と密着して、奥津地域、そして鏡野町に、ひいては岡山県北に貢献することで、地元の活性化に向けて活動している松隆山 宝樹寺の秋成住職。
宝寿寺と過疎化していく奥津地域の衰退を止め、地域の繁栄へと繋げられることを共に願います。

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