一般社団法人530(ゴミゼロ)運動の
『なつみん』こと、久常(ひさつね)奈津美さん
津山で白いベストを着てゴミ拾いをしているのを、見たことがある人もいるのではないか。このゴミ拾いなどのボランティアで環境美化活動をしているのが、杉山孔太さんが理事を務める『一般社団法人530(ゴミゼロ)運動』のメンバーを中心とした人達だ。
今回は、この『一般社団法人530運動』の主要メンバーの『なつみん』こと、久常奈津美さんに街中美化活動の話を聞いた。
530(ゴミゼロ)運動は、約10年前から。
生まれは津山ではないものの、小学生の時に引っ越してきて以来、津山の学校を出て津山で住み続け、津山が大好きな『なつみん』が、この活動に参加し始めたのが4~5年前くらい。最近行った清掃箇所は、中山神社、農道、城東地区や宮川など鶴山公園の周り、さらには、ごんご祭りの後の吉井川の土手や市中心部など。観光客など、比較的人が多く集まり、ゴミが出やすい場所が中心だ。津山以外から来た人に、綺麗な津山を見て帰って欲しいとのこと。
活動の中心メンバーは『なつみん』を含め5~6人。しかもメンバー登録の仕組みはない。目について、気になったところを見つけると、中心メンバーが、お互いに連絡を取り合って、活動の日程や場所を決め、知人を誘ったり、SNSやホームページで告知するといったスタイルなのだ。
事前に主要メンバーに「今度ある時は誘ってね」とお願いされることがあるという。そういった人には、開催が決まると個別に連絡をして参加してもらう。参加者は主要メンバーだけのこともあるし、10人を大きく超えることもある。
活動に参加したい人は、知っている会員に連絡するか、SNSなどをチェックして活動予定日時に直接足を運んで、参加したいことを告げれば、ゴミ袋やトング、530運動のベストを貸してもらえるとのこと。さらに遅れてきても途中で帰ってもOKだという、この「ゆる~い」スタイルが、活動が長続きする秘訣なんだとか。
中には、親子で参加される方もいるそうですが、それも、子どもが参加して保護者は見ているだけ、でもOKなんだとか。とにかく、義務にしてしまうと、活動に参加することが、楽しくなくなるという考えから、参加者が負担を感じないように、全て自由に「ゆる~く」活動をしている。
活動中の休憩タイムの会話も楽しい。気の合う仲間たちとの活動は、「おしゃべり」しながら行うことも。当然、「ゆる~い」活動方針に沿って、休憩も各自が自由な時間に取る。
美化活動を行う事にも充実を感じるが、仲間と楽しく、和気あいあいと活動することが、楽しいのだという。お弁当の時間などは、ピクニックに行っている感じで、おかずをシェアし合ったりして楽しんでいるのだそうだ。
2022年から、大名庭園の衆楽園の池掃除ボランティアを市と連携して行っている。昨年は、春秋二回でそれぞれ、3日間の清掃を行った。初回は津山青年会議所が主催していたが、今は、530運動が主催する形で行っている。
衆楽園の池は、蓮や菱が水の流れを悪くし、水が淀んで汚泥がたまり、夏などはかなり異臭を放っている。そもそも、江戸時代から比べると池が埋め立てられ、1/3になっていることで、水の流れが悪くなり、淀みができるようになったそうだ。さらに、近年は衆楽園に入る水の量が減っていることも水質悪化に拍車がかかっているのだという。
そこで、少しでも水流を良くし水質を改善出来るように、池底にたまった汚泥の撤去と共に、蓮や菱などの撤去作業も行うのだ。
水の量を減らし、腰の辺りまで池の中に入って水草を取る。大変な重労働となる作業だ。しかし、こちらの活動も、「ゆる~い感じ」で、みんなで、楽しみながら作業を行っている。530運動と違うのは、市と連携しているため、市がポスター・チラシを用意して、学校や公民館などに掲示してくれたり、学校を通じて子どもたちに、チラシを配布してくれたりすることだ。そのため、参加者も20人以上と530運動と比べると多い人数になっている。作業をしていると、観光客の人達が声をかけてくれたり、中には作業を入れ込んだ写真を撮りたいからと、作業位置のリクエストをされることもあった。自分たちの作業も、衆楽園の景色の一部になっていると、嬉しく思えたのだそうだ。
530運動と池清掃、作業内容は違っても、津山を訪れる人に、津山の良い印象を持って帰ってもらいたいという思いは、共通している。
これからも、末長く「ゆる~く」楽しく活動しながら、綺麗な津山を守っていって欲しいものである。我々もゴミを捨てないところから、協力していきたいと思う。