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脳こうそくから甦ったピアニスト谷口博章さん

西宮市役所職員でありピアニスト

2011年の東日本大震災の時には、兵庫県西宮市の市役所職員として宮城県南三陸町に赴き、広報業務と町長秘書業務を担当し、ピアニストとして同町の避難所でミニコンサートにより被災した町民を音楽で励まし、今も継続して支援活動を続けている谷口博章さん。

2017年第15回ワシントン国際ピアノアーティストコンクールで一位、聴衆賞、プレス審査員賞など主要3賞を獲得するなど輝かしい経歴を数多く持つ谷口さんを脳こうそくが襲ったのは、一昨年、2018年11月のことだった。


脳こうそく発症、そして甦る


脳こうそくを発症し、出来ていたことが出来なくなったり、ピアノを弾くことが出来ない、辛く苦しい時期を経験した谷口さんの心は傷ついたが、5歳の頃から取り組んでいるピアノをあきらめる選択肢はなかった。

コンクールなどで成果が出せなかった時も、信じて支え続けてくれた母をはじめとする家族のため、震災直後に見た壊滅的な南三陸町のみなさんはじめ、誰かの役に立ちたいと願って、谷口さんは「今の状態でできる最善のことをしよう」とリハビリや針きゅうの治療にはげみ、見事、脳こうそくから甦った。





自分らしさを表現できる曲を


「病気になった時にいっぱい心配をかけた皆さんにお礼の気持ちをこめて、津山でのリサイタルを」と意欲を見せる。
今回演奏予定のショパンのノクターン第13番は、最も自分らしさを表現できる曲。


愛用のグランドピアノを南三陸の保育園に

「南三陸町はすてきな町です、元どおりの町になるまで支援を続けていきたい」。
その思いが今、一つかなう。
谷口さん自身のグランドピアノを集いの場所にとの願いで、南三陸町立戸倉保育所に3月10日設置されることに。

保育所の園児がピアノを囲んで元気に歌う様子が目に見えるようだ。
苦難から甦り、多くの人を励まし続けたピアノ曲は、希望に満ちた音色を奏で続ける。

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