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レンズを通して

 約20年前に、備中高梁から、ここ久世に引っ越してきた。地付の人間ではない。
 現在は、真庭市久世に在住しており、勝山「喧嘩だんじり」のオフィシャルカメラマンも行っている。

 元々は、25年前の阪神大震災のあとまで、大阪市の隣、兵庫県の尼崎に住んでおり、震災で自宅が全壊した際に高梁市に避難してきたという。
 冒頭に地付の人間ではないと書いたが、厳密にいえば関わりがないわけではない。
 ご両親のご実家は、真庭市落合。
 そんなご縁もあっての移住の決断だったようだ。




 そんな池田さんに、都会での暮らしから地方に引っ越すことについて聞いた。
「家も大きく傾いて、生活の為にも、どこかにすぐ安心して住めるところを探さないと」と思って色々考えたそうだ。
 そんな中、ご両親の実家付近も選択肢に入れて探していたところ、たまたま高梁の物件を見つけ出し、悩んだ末に移住を決断した。




 高梁に引っ越してきた当初は驚いたという。「夜8時を超えたら、店が開いていない」当時は、まだコンビニもなく、スーパーも8時までだった。
 尼崎にいた頃の感覚でいると、買い忘れ等が出た場合に、どこで買おうか本当に困ったそうだ。




 職業はプロカメラマン。「なぜ写真を始めたの?」と素朴な疑問を投げかけてみた。
「元々はフラワーショップで働いていたんですよ。それでフラワーアレンジメントとかを作った時に、それを残しておきたい。と思って始めたのがきっかけなんです」そう教えてくれ、さらにこう続いた。
「花の綺麗な時って、限りがあるじゃないですか。でも写真に残すと、後々からでも見直すことで、その時の感動した記憶って思い出すもんなんです」
 その後、子供もでき生活時間が仕事中心に出来なくなった。
 しかたなく、フラワーショップを退職し、趣味としてしていたカメラを仕事にしたくて、写真館に転職をする。
 そこで、さらに腕を磨いた。様々な所に押しかけて行き、教えを乞うたりもした。
「最初の頃は、よくフォトコンテストとか出しましたよ」好きだったということもあり、みるみる腕も上がり周りの評価も上がってくる。
 そしてフォトコンテストも、度々入選するように。
「今は、時間もなく年に2回決まったところにしか出していませんが、また出していくのも良いですね」そういう。
 プロ・アマチュアを問わず写真仲間でフォトサークルを作り、最新情報や撮影場所などの情報交換や技術を定期的に行っている。
 この貪欲な探求心があればこその今だ。




 プロカメラマンとしての活動の中心は、記念写真の依頼と、写真イベント講師や話があれば写真教室のようなものもやっているという。
「最近はデジタルになったので、お金がかかりにくくなりました。昔のようにフィルムにお金がかからなかったり、編集加工がPCでできるので、フィルタも多く揃えなくなりましたし」
 どこを加工するかも写真を撮る際に考えて撮ることで、加工の強みを最大限に引き出せるのだそうだ。




 記念写真などは、真庭、津山の名所をロケ場所にしている。白梅公園、旧遷喬小学校、勝山町並み保存地区、鶴山公園、衆楽園などだ。
「他から来たので、とにかく地元に溶け混みたかったんです」
 喧嘩だんじり・原若連のオフィシャルカメラマンも、地元活動に関わりたくて何かないかと探していたところ、お声がかかってとのこと。
 努力のかいもあり、今では人が少ない時には撮影だけではなく、だんじりを押したりもしているそうだ。
 地域の写真を撮ってパネルで展示してもらう事で、地元の人に自分の住むところの良さを再認識してもらいたいとの思いだ。




 最後に、「ド素人の初心者でスマホでしか写真を撮らない人に対してアドバイスお願いできませんか」と頼んでみた。
「一番重要なことは、被写体を好きだということです。好きなものは、その良さが良く分かっていると言うことです。
 逆に言えば、被写体を好きになることで、良いところが見えてくるんです。
 さらには、それをどう見せたらさらに良く見えるか。
 そういった創意工夫も生まれてきます」
 なるほどと、素直に納得できるアドバイスをもらい、さらに初心者以外にも通じるアドバイスとして、もう1点教えてもらった。
「被写体をよく見て観察してください。パッと見ていいなと思った場面を写真に残すことは重要なことなんですが、その一瞬の感動とよく見て見えてくる感動とは別な物なんです」
 多くの人が、どこをどう撮ると綺麗な姿を残せるか、よく観察するという行為をしていないため、片手落ちともいえる、勿体ないことをしているそうだ。
 最後に動画と異なり一瞬を切り取るので、撮影者がどういった思いで撮影したのか想像が広がる良さがある。
「写真は写心」という言葉があり、撮影した者の心を映し出すという。

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