アットタウンWEBマガジン

もっともっと北房を知ってもらうために

「ほたるの雫』というシロップ。
読者の皆さんは、ご存知でしょうか?
現在、ピオーネ、紅ほっぺと葡萄と苺の2種類のシロップがある。
実は、北房で活動している「ママンmaniwa」という団体が作っているシロップなのだ。
「ママンmaniwa」は、真庭市北房地区で特産品の開発をしているグループになる。
今回、お話を聞かせてもらったのは代表の池永京子さん。




県南の倉敷で生まれ育った池永さんだが、縁あって北房に嫁ぐことになる。
10年位前から、JAフレッシュミズなど、女性のリーダーとして北房の地域おこしの為に幅広い活動で活躍していた。
そんな中、人を介し真庭市北房地区の農泊推進協議会に呼ばれた。地域おこしの会議だ。北房地域を各団体で活躍している人達で、まとまって盛り上げるために横串を刺す目的で開催される会議になる。

そこで、お願いされたのが名産品やお土産などがないことについて解決して欲しいとの無茶振りだったそうだ。
知人などに声をかけ、立ち上がったのが、今回の「ママンmaniwa」だった。




集まった仲間でアイデアを絞り出す。岡山県立大の大学生の協力も得ての商品開発。
色々候補で上がった中で、最初に取り組んだのが  ”米粉フィナンシェ “ 
地元、真庭産のお米を100%を使い、様々な工夫を凝らした上で完成させた商品だ。
出来上がりも、素晴らしいと上々の評価だった。
順風満帆に思えた立ち上がりだが、そうばかりでない部分も見えてきた。
2週間の賞味期限の問題だ。
ボランティアでママ友が時間を割いて作っているので、頻繁には作れない。




しかし、お土産、名産として世に送り出すには、「商品がない」という事態があってはならない。
賞味期限が短いということは、作り置きをして在庫として保管することができないのだ。
どうするか検討した結果、米粉フィナンシェをメイン商品にすることを諦め、新商品の開発をすることを決める。
ただし、地元北房産100%の原材料であることが絶対条件だ。
そして、賞味期限の長い作り置きできる商品であることが、新たに条件に加わった。

絞り込まれた企画が『ほたるの雫 ピオーネシロップ』だった。
北房地区では、ピオーネが栽培が盛んだ。
原材料は何とかなりそうだ。
ここから1年がかりの商品開発が始まる。
ママ友で集まり試作品を作る。
そんな中、商品開発をするにあたって、食品ロスに対しても取り組みたいとの声が上がる。
もうひとつ、食品開発の敷居が上がった。
しかし主婦の立場で考えた時に重要な課題として、前向きに取り組むことに決めた。
シロップの場合は、「実と皮」が残ってしまう。
結果、自分たちでの再利用は難しく、他に協力を頼むことに。
そして、同じ真庭市のジェラート醍醐桜のジェラートに使ってもらうことが決まった。
また、津山でも、アイスシャーベットに使ってくれる店舗も現れ、食品ロスの問題もクリアできた。
そうして『ほたるの雫』は名産品としてスタートを切った。
『ほたるの雫』シリーズ名は北房の象徴でもある蛍を冠にすることで、すぐに北房を連想してもらうため、蛍が飛び交う自然の中の美味しい水で作られたことPRすることができるため満場一致で決定した。
販売数は月間限定300本。




完成した商品のリリースは、真庭市などの行政やJAなどの協力も有り、新聞などでも大きく取り上げられた。
露出が上がると、リリース後のシロップを置いてくれるところを探す作業も楽になる。
道の駅、お土産売り場、喫茶店、小売店など飛込で交渉をする中、置いてくれる店は順調に増えていき、今では北房の名産としての認知を得るようになっている。
また、今年の春にはピオーネのシロップに続く第2弾として、新商品『ほたるの雫 紅ほっぺシロップ』を開発、生産に入った。
時期がコロナ禍と言う事もあり、イベントなどでの積極的PRが出来ていないため、話題にならなかった。
知名度が上がらなかったハンデを克服する為に、今も奮闘する。
4月からは、念願の加工拠点を北房カントリーの中に、本格的な厨房を確保できた。
今後、苺ゼリー、ぶどうコンポート、コーヒーゼリーの販売も計画している。
また、ほたるの雫シロップについても第3弾として、地元産の桃「蟠桃」を使ったシロップも開発中とのこと。
商品の完成が待たれる。




この北房を盛り上げるために、頑張っている「ママンmaniwa」について、もう少し詳しく紹介したい。
名産として紹介した商品以外に、お土産物としてハンドメイド雑貨を販売している。
これについては、登録してもらったママ達から商品を買い取り販売する形式をとっているとのこと。
地域のイベントなどでも、地元を盛り上げる為に積極的にショップを出店するなど、今や地域の顔となっている。
地域との触れ合いも、活動の大事な要素だと池永さんはいう。
もっと北房を、北房の良さを多くの県内外の人に知って欲しい。その思いが通じて、今では、県南の高島屋とJA晴れの国おかやまにシロップを置いてもらっている。

「今は、任意団体としてサークルのように活動していますが、できれば将来は収益が確保できる活動にしていき法人化をしたい」ときっぱりと答えてくれた。
今は通販と岡山県内だけだが、全国に出荷できるようになることを目指し、北房のママさんの挑戦は、これからが佳境だ。

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