アットタウンWEBマガジン

農業に携わるために移住

久米南町地域おこし協力隊 景山さん

 先月、久米南町の地域おこし協力隊の柴田さんを紹介したが、今月も引き続き、同じ久米南町地域おこし協力隊の景山さんについて紹介する。

 関係人口という言葉がある。
特定の地域、自治体に定期的に関係する人口という意味だそうだ。
例えば、『実家があり草刈りをする為に年に数回帰郷する人』、『友人が住んでおり、定期的に遊びに来る人』、『イベントやレジャーで度々訪れる人』などになる。
今回、紹介する地域おこし協力隊の景山さんは、久米南町に関係する人口を増やすことを行うための活動を中心にしている。
その中でも、ぶどうやゆず、そして棚田での稲作など農業の盛んな久米南町の特徴を生かし、農に関わる関係人口を増やすことを目指しているということ。




 岡山大学の農学部に在籍していた景山さんは、こどものころから漠然と農業に興味があったという。
サラリーマン家庭で育ったため、農業の大変さを体験したこともなく、小学生のころの体験農業などが楽しい想い出として印象に残っていたのが大きいのではないかと話してくれた。そんなこともあり、田舎に移住することにも憧れがあったそうだ。

「実は農業をしたくて、田舎に足掛かりを持ちたいと思って協力隊に応募したんです。農業は農地の購入などの制限が厳しくて、借りるにも誰にでも貸してくれませんから、農家と接する仕事をと考えたんです」そんな話をしてくれた。
岡大農学部時代に先輩に誘われて久米南町を知り、ぶどう農家にアルバイトに来たりもしたそうだ。農家の仕事に大変さも思い知ったが、充実感もそれ以上に感じ、農業へ対する思いはさらに強まったという。
夢を実現させるため大学卒業と同時に地域おこし協力隊として、久米南町に移住することにした。

 ぶどう農家を目指すのに、岡山県北は、真庭や勝央・美作市など他にもぶどうの産地もある。岡山県に拘らなければ広島県の沼隈や三次も有名だ。なぜ久米南町を選んだのか聞いた。
「どこで農業をしたいとか場所について全く考えてなかったんです」最初に大学の先輩からアルバイトに誘われて久米南町に来てから運命のようなものを感じて最初から久米南町しかなかったそうだ。
 久米南町に移住してきて、久米南町の良さについても聞くと一番に季節感だという。
街中に暮らしていると、春に花が咲き、夏には葉色が濃くなり、秋にはその葉が色づく、そして冬は葉が落ちる。そんな春夏秋冬程度しか季節を感じられない。
これが久米南町になると、3月には田を耕し、5月には水を張る。田植えが始まり、季節と共に株が張っていき苗が稲になり伸びていく。春夏秋冬しか感じられない季節が、毎月の、もっと言えば日々の変化が感じられる。それが自然の中で暮らす楽しみだという。
 逆に久米南町で困ったことは? と聞いてみると、特にないとの答えが返ってきた。そこで質問を変え、もっとこうなって欲しいという希望は? と聞いた。返ってきたのは若い世代のコミュニケーションを取れる機会が少ないことが問題だという。




農家が多い久米南町では、家庭内の人としか会わないことが多いのが実態だ。そんな中で若い世代が少ないこともあり、お互いにコミュニケーションを取る機会があまりない。そこで都会から定期的に遊びに来てもらったり、アルバイトなどで来てもらう際に交流できるようなカタチを目指して、今、地域おこし協力隊で関係人口を増やすことに取り組んでいるそうだ。
このような取り組みでコミュニケーション機会を増やせると考えている。農業をハブに様々な交流をする仕組みを作りたいとの思いからだ。

 今まで、若い人に久米南町に来てもらうために、大学時代の後輩などに声をかけてもらい徐々に口コミで話を広げて来た。一定の効果はあったが今後さらに情報発信の効果を高めるため、SNSなどを活用して、より多くの人に情報を届けることを準備しているという。話を聞けば聞くほど、バイタリティーに富んだ景山さんの活動はさらに加速していきそうだ。

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