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久米南町 地域おこし協力隊 八木さん

 久米南町地域おこし協力隊の取材も今回で3人目となる。
今回取材したのは八木さん。3年の任期のうち既に2年目を終え、3年目に突入したところになる。
八木さんが地域おこし協力隊として取り組んでいる分野は社会教育だそうだ。
久米南町の協力隊は本来、産業振興課と連携して活動を行う。しかし八木さんの場合は、社会教育を通じた取り組みをしている為、産業振興課だけではなく教育委員会とも連携して活動を行っているという。




 今までの取材を通じて、久米南町の協力隊の活動は、直接的な移住と関係人口を増やすことでの人口流出の防止が大きなテーマとなっている事に気づいた。その中でも、今回の社会教育を通じた人口問題の取り組みに興味をそそられる。
社会教育について簡単に説明すると、こども達に学校教育などで得られない知識や経験を、社会と繋がりを持つことで吸収してもらうと同時に、人は生まれて死ぬまでが全て学習といった考え方から、年齢関係なく社会活動を通して、様々なことを学んでいくことを指す。
最近では生涯学習という言葉に置き換わってきている。




 この社会教育を通じた人口問題への取り組みとは、具体的にはどのようなことをしているのかを、突っ込んで聞くことに。
今のところ実績となっているのが『未来商店街』というイベントを開催する活動だそうだ。この活動は、中高生が主体となって企画を出し、地域の大人たちを巻き込んでマルシェやイベントステージなどを組み込んだ、まち歩きイベントといった内容になるそうだ。
今回で3回目の開催を迎えるはずだったが、新型コロナウイルス感染症の影響も有り、早い段階で開催の中止が決まったとのこと。話を聞いていても残念な思いが伝わってくる。
久米南町には町内に高校が無いため、高校生になると必ず町外の高校に通う。通学先は津山市か岡山市が多い。通学に時間もかかるため、久米南町にいる時間が極端に減ってくるのが高校に通いだしてからだ。
八木さんが社会教育を通じた活動をしている狙いもここにあるという。
年齢が若い時から地域と交流することで愛郷心を育て、「社会に出た時に町外に出ることはあるが、やがては帰ってきたい」と思い続けてもらいたい。そんな思いからだそうだ。





 八木さんが協力隊になった当初は、久米南町の野菜をつかったPRなど、町外に向けた取り組みを行っていたそうだ。
そのような中で町内のことに目を向けた時、地域イベントなどへの中高生の参加が少ないことに気が付いた。
町の活性化について考えた時、もっと町内に向けての活動に取り組みたいと思った。
岡山市内で学童指導員をしていたこともあり、こども達と接することで貢献できる方法はないかと。
そして、どのような取り組みがいいか、役場と相談しながら今の方向を模索してきた。
ここで学童指導員についてご存じの無い読者に簡単に説明すると、近年共働き家庭の増加から、日中保護者が仕事で不在となる子供の育成を支援する目的で、放課後や夏休み、冬休みなどに、勉強や遊びの補助をする仕事になる。




その中で、役場が1度開催実績のある『未来商店街』を使うといった案を示してくれた。第2回の開催から、八木さんはコーディネーターとなって全体を仕切りつつ、地域の中高生を会議の主体に据えて、企画立案を行う彼ら、彼女らをサポートした。また同時に大人とのパイプ役として大役を果たした。
他にも企画していた活動もあったそうだが、新型コロナウイルス感染症への対策から、企画が途中で止まるなどの影響を受けているという。その中で、直近で行いたいのが公民館活動で子供や若い人に向けた体験学習などだそうだ。
例えばクラフトコーラを作ってみたり、若い年齢層にも受け入れられやすいような様々な活動を、公民館を通じ、そこを拠点に展開して、世代間を超えての交流をもっと促進していきたいのだそうだ。




 岡山市に『NPO法人だっぴ』といった組織があるそうだ。若者と大人のパイプ役として仲介する活動をしている特定非営利活動法人だ。八木さんはこの『だっぴ』とも繋がり、様々な事例等の情報を集めている。また備前市、赤磐市、西粟倉村などの協力隊との情報交換などもしている。
これから八木さんの協力隊活動も、最後の年になる3年目に入る。




高齢化率が岡山県下で最も高い久米南町にあって、地域の宝物でもあるこどもをどう地域で育てるか。
様々な情報を集め今後の活動に向けて準備万端だ。難しい課題を通して久米南町の人口問題に貢献する八木さんの挑戦に注目したい。

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