北房「イルミっていいねクラブ」代表 山本美智夫さん
真庭市北房町、国道313号線から少し入った場所のハート広場で毎年開催されているイルミネーションinハート広場。国道からハート広場まで遮蔽物がなく、車で走っていると眩い光が見える。数年前までは岡山県内でも最多の電球数を誇り、今も県北のみならず、県南からも多くの人が集まってきている。18万球の電球を飾りつけ岡山県内有数の光イベントとして有名だ。
最近では、大根島にある由志園、三次の備北国営公園、福山のみろくの里などが有名だが、ここのイルミネーションはそれらとは意味合いが全く違うのだ。
今回は、その辺りを含め、イルミネーションinハート広場の主催団体『イルミっていいねクラブ』代表山本美智夫さんに、話を聞くことができた。
そもそもの始まりは5年前だが、実はそれ以前、それも14年前に、山本さんが自宅に始めたとのこと。
キッカケは、自身が飼っていた愛犬が亡くなったこと。寂しさを紛らわせたくて自宅にイルミを飾り付けを始めた。
徐々に電球数を増やしながら毎年飾り付けていくうちに、イルミネーションを楽しみに、毎年観に来る人が現れだした。楽しみにしてくる人を見ると、より綺麗に、より華やかにと励みになっていく。
年を追うごとにグレードアップが続いていくうちに、飾りつけに使う電球の数は1万球を大きく超え、外壁などにビスを打ったり、ステイを取り付けたりで、家がかなり傷んできだした。そこで、残念ながら、自宅でのイルミネーションを断念した。それが7年前。それで終わろうと思ったそうだが、毎年楽しみに見に来てくれていた人たちの姿が、頭をよぎり終わりにできず、国道近くの2本の木にイルミネーションを施すことにしたという。
仕事が終わると、高所作業車を持ち出し、何日もかけて飾りつけをする。
飾りつけは大変だ。夜でも繊細な作業をするときは手袋が使えない。冬の夜は、手をかじかませ、赤切れになる。なかなか作業がはかどらない。
ツリーのイルミネーションを行って電球の数もいつのまにか2万球に達していた。それでも、年末になるとイルミネーションの飾り付けを一人で行っていた。
それも3年が経ち60歳にもなった時、地域に潤いを提供する社会貢献にもなっているのではないか? と山本さん自身も思いだした頃だった。
次回から、イルミネーションの飾りつけを手伝わせて欲しいというグループからの申し入れがあった。一人での作業に限界を感じていた山本さんは手放しで要請を受け入れることに。それを契機に、知り合いや親せきにも頼んでみると、こちらも喜んで同意してくれた。しかし、ここで少し誤解があったという。
山本さんは、手伝いをしてくれるのだから、もっと本格的なことができると思って受け入れたのだが、手伝いを申し込んだ方は、それまでのツリーの飾りつけを手伝いたいとのことだったと。
最初の会合で、もっと規模を拡大して、コスモス広場の跡で、来た誰もが感嘆の声をあげるようなことをやりたいと打ち明けた。
それを聴いて参加していた一同は、きょとんとした表情だったという。
そこで初めて、山本さんはツリーのイルミネーションの飾りつけを手伝いしてもらえるとの意味だったことを気付いたとのこと。
それでも、規模を拡大してすることで同意し、予算は募金と協賛金で賄うことにした。
実はこのイルミネーション事業に一切の公的助成は入っていない。しかも募金箱があるだけで、観覧料金は無料。さらに駐車場代も無料で運営されているのだ。
今でも、全てのスタッフが手弁当で出ている。イベントの際の駐車場を警備するガードマンも、ボランティアで出てくれている。
簡易トイレの設置から電源としている発電機の燃料、玉切れした電球の補充、さらには打ち上げまでそうだ。
現在の「イルミっていいねクラブ」の会員構成は、こどもから78歳まで100人を超える。
活動の中心は若い人が仕事や子供会などの活動で忙しいので、どうしても定年後の人が多くなっているが、強制しない事をモットーに活動している。
副代表の鈴木さんをはじめ中心メンバー5人で、声をかけて参加者を誘っているのだそうだ。
今年はコロナ禍ということもあり、例年とは勝手が違う。
3年前から、防寒対策の為テントをやめ、コンテナBOXにして、うどんなどを提供し、暖をとってもらい滞在時間を延ばそうというものだが、今年は、換気が十分できないので設置しない方が良いという判断をせざるを得なかった。他にも密を避ける注意看板や消毒液を設置したり、メッセージボードを廃止するなどコロナ対策も万全だ。
来年はコロナも収まり、例年の様に開催出来る様になって欲しい。あとは主要役員も少しずつ若返りを図ってずっと残していきたいと語っていた。
今回の2月14日のバレンタインデーまで、街を照らす眩いイルミネーションが輝く。