アットタウンWEBマガジン

山の中で海の幸 保田昌夫さん

津山に全国で話題の鮮魚店がある。


有名になっているので、ご存知の方も多いだろうが、津山市の市街地。小田中にある鮮魚店だ。
実はいま、SNSで話題になり、全国から人が押し寄せている。まるで観光地の様相を呈している。
昼時になると、店の前には大型のオートバイがずらっと並ぶ。
周りから浮き立ったこの光景は壮観だ。
もともと、鮮魚店の三代目になる保田さんがオートバイが趣味だったこともあり、バイク仲間とあちこちにツーリングに行ったときに、Twitterにシェアしていたのだそうだ。
そのうちにSNSを通じてのバイク仲間も増え、津山までツーリングで遊びに来てくれる人も増えてきだした。なんと遠くは西は鹿児島、東は関東の伊豆方面まで。
 実はオートバイ愛好家の中でも兵庫の西播磨や広島の福山辺りから岡山県中央部から県北へのツーリングは、特に多いそうだ。話を聞くとそれには、それなりの理由があるらしい。
県中央の吉備中央町、美作地域の美咲町や久米南町などは、ツーリングむきの道が多いというのだ。
「比較的新しい整備された道で、適度にコーナーやアップダウンがあり信号が少ないでしょう。四季を感じられる野山や川があるかと思えば、古い田舎町もある。ツーリングで走っていて気持ちがいいんですよ」と教えてくれた。




 そんなバイク仲間がどうして、保田さんの鮮魚店に集まりだしたのか?
元々は保田さんとSNSで繋がって仲良くなったライダー友達がツーリング途中で訪ねて寄ってくれていたのが始まりだそうだ。
その頃は、昼食でどこかいいとこない? なんて聞かれて、知り合いや評判の飲食店を紹介していたそうだ。そのうち、何回も訪れてきてくれた仲間から「保田さんの所は魚屋で仕出しもしてるんだから何か食べさせてもらえないの?」といわれたということだ。
そこで、仕出しを作る調理台の周りにイスを並べ、海鮮丼を作り原価でふるまったことが始まりだそうだ。
調理台を飲食スペースに提供したので、仕出しが入った日は、海鮮丼は中止。完全予約制で儲けなし、ライダー仲間で楽しんでもらうためにおこなっていただけだとのこと。




 そのうちライダー仲間の一人が投稿した「山の中の街で海の幸を堪能」という内容のツイートが話題を呼び拡散された結果、ライダー仲間に一気に広まったという。
その後も訪ねてくれる人がSNSで紹介し続けてくれたこともあり、徐々に訪れてくれる人も増えてきたため、2018年に空いていた2階の物置にしていた場所をイートインスペースに改装し、僅かながらの利益を載せて、一般の人にも公開することにしたのだそうだ。




 その後も、店前に大型のオートバイが並ぶ姿が、インスタグラムなどのSNSに投稿されるなどが続き、さらに店に訪れる人が増えだしたのだという。
こだわりのネタを、かなりの低価格で提供していることも同時に話題になり、今ではオートバイが趣味の人以外が8割を超える。そして店舗の前に並ぶオートバイと海鮮丼の、のぼりや店の様子、海鮮丼を写真に収めTwitterやインスタグラムなどのSNSにシェアしている。
しかし店主の保田さんは、観光名所化してきていることについては、あまり興味がないみたいなのだ。
「SNSを見て観に行きたいが動機になって来店してくれることはもちろん、話題になること自体も、嬉しいし、ありがたいと思いますが、私は魚屋なんで自分がこだわったネタを提供して喜んでもらえることが重要だと思ってるんです」と自身は、鮮魚店に徹しているという感じだ。




 今後はどのようにしていきたい? といった質問にも、自らが情報発信して津山を有名にしたいとか、津山の観光名所としてとか、大それた事は一切思っていないという。
「今後も鮮魚店として来たお客さんに喜んでもらえる経営をしたい」と答えをもらった。やっぱりそこはブレない。
それと、「オートバイ好きの人が楽しんで走るサポートになればいいです」との思いだそうだ。
今日も、SNSには保田さんの鮮魚店がシェアされている。

関連する情報