アットタウンWEBマガジン

趣味の絵画が童話絵本に。

真庭市蒜山 土谷経子さん

 蒜山で酪農の傍ら、趣味で絵を描いている『土谷経子(つねこ)』さん。
家業では乳牛80頭をも育てて、牧草用の畑は20 ha、東京ドームの約4.5個分と広大な土地を管理している。それを「蒜山では、普通ですよ」なんてさらりと言葉として出てくるあたりが凄い。
牧場の朝は早く、明るくなりだすころには搾乳作業を行い、牛舎の清掃や餌やりを行う。
そして夕方からも同じ作業が待っている。
そして、春から秋は牧草地の管理も必要だという。
津山で生まれた土谷さんが、この酪農農家に嫁いできたのが、約40年前。
生き物が相手の仕事のため休みはない。
そんな大変な仕事の合間を縫って、この度、童話絵本を出版することが決まった。





すでに、出版社との打ち合わせなども進み、来年春頃の発刊へ向けて、今のところ作業は順調に進んでいるとのこと。
土谷さんが、趣味として絵を描き始めたのが、25年前くらいからだそうだ。子供の頃から絵が好きで、子育てが少し楽になったころに始めた。
最初は油絵に取り組んだが、実は誰にも師事せず、全て独学でのスタートだったとのこと。
図書館に通い、必要な画材や必要な道具が何なのか、絵具の溶き方はどうするのかなど、絵を描き始めるために必要なことを調べた。





「一人で調べたりするのは好きだったんで、先生がいないことが、特に苦労することでは、なかったですよ」と口にした。それを聞いてから土谷さんの絵を見ると、独特のその画風は、今まで誰にも師事することがなく、独学で絵を描き続けてきたことが、大きく影響しているのだと思えてくる。
一つの作品を描くのに牛舎の事務所に道具を持ち込み、仕事の合間にゆっくり眺めながら、どのような絵にするか構想を固めながら、時間をかけて描いていく。「いつも頭の中で考えていて、描くより圧倒的に考える時間の方が長いですよ」と教えてくれた。
今では、年に2~3作品を創作する。





 作品も、油絵からクレパスや水彩絵具、アクリルを使った絵に徐々に変わりながら、仕事の合間に描き続け、蒜山文化祭などに出品するなどして発表を続けてきた。
文化祭でも常連になってきたころからか、作品も評判になり欲しいという人が増えてきた。描き上げた作品は、その欲しいと言ってくれる友人に、プレゼントするようになった。
そうしているうちに、友人から「童話を題材にした絵をかいたら?」という提案をもらった。『鶴の恩返し』、『浦島太郎』そして今回絵本として出版する『龍の子太郎』と昔話の場面を切り取った絵を描きだした。これをSNSで公開しストーリーを添えた。
おおまかなストーリーは昔話のままだが、文章も細部に若干アレンジを加え、オリジナルとなっている。これが絵本を出すきっかけとなったのだ。





 ここで簡単に龍の子太郎のあらすじを紹介すると、『貧しい村に生まれ、日々の食を繋ぐにも苦労する中で、魚を全て一人で食べてしまったことにより、龍にされた母を探す太郎を描いている。
死んだと聞かされていた母が実は龍の姿で生きていると知った太郎は、様々な経験や出会いを繰り返し、母の住む沼を見つけだす。
そして、母や様々な出会いから仲良くなった仲間たちと山を切り開き豊かな村を作っていく』という内容だ。




 この度の出版は、自費出版となるため、かなりの費用もかかる。それでも、この童話絵本を出す理由は、「漫画とは違う絵の良さを子供に知って欲しい」そんな思いからだ。
漫画はコマ割りがしてある。絵本は見開きで広がりがある。同じ絵でも全く異なるものになり、絵画に近い絵本を出すことにより、それを見たこども達が、もっと絵に親しんで、好きになるきっかけになることが、絵本にする意義だときっぱりと。
「趣味にしては、かなり高額になってしまったんですが。でも良かったと思っています。これから出版までも、大変なこともあるかも知れませんが、頑張りますよ」と話してくれた。
また正確な出版日や購入できる場所などの詳細が確定した時点で紙面で紹介したいと思う。
完成した絵本が、どのようになるか楽しみに待ちたいと思う。

 最後に、土谷さんの自宅の隣の民家を改装して、今まで書き溜めた絵を飾る、ギャラリーも作ったそうだ。土谷さんに連絡すると見せてもらえるとのこと。電話番号を知らない人でも、フェイスブックで連絡がつくので、インターネットで「土谷つねこ」と検索し、問い合わせて欲しい。

関連する情報