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切絵でお年寄りに生きがいを

津山市久米町 梅田直人さん

デイサービス施設を中心に福祉センターなどで、お年寄りに切絵教室を行っている梅田さん。現在デイサービス円で定期的に講師を行っている。
そんな梅田さんが、切絵教室を始めたのは約5年前。梅田さんの切絵を見た友人が、市の広報誌に作品を送るように勧めてきたのがきっかけだ。




そこで、言われるままに市の広報課に、作品を写真に収め送ったところ、津山市生涯学習人材バンクの登録を勧める連絡が来て、登録をすることとなった。
登録後早い段階で、久米保健センター(すくすく久米)での講師の依頼があり、活動が始まった。





梅田さんの切絵は、ポップアップ・クラフトという立体的な切り絵で、なおかつ伝統芸能の紙切りの様に、人前で話をしながら切っていく。
ただし、話術はあまり上手くない。というより、切絵関係なく普通に話して下手な方だ。そんな梅田さんの飾らない素朴な人間性が、多くの人から親しまれているのだ。





 講師を始めた当初は、引きこもりなどのお子さんに対して、指導をしていこうと準備した。
しかし、その後は思うように開催に結びつかない。そんな折、ある主催者から「梅田さんの教室は、こどもを対象するには、ちょっと難しいと思いますよ」と言われたそうだ。そこで、すぐに高齢者向けに教室を開催するよう舵を切ったのだとういう。





今でいう『聞く力』は人並外れた能力を持っている。
収益目的ではないとはいえ、人が少ない中で教室を開くのは、さすがに心が折れそうになるそうだ。
そんな中、2019年に津山ふれあいサロンで講師を務めたのが転機となり、ようやく梅田さんの切絵が、様々な人に知られるようになり、奈義小学校PTA主催の教室を奈義町文化センターで開けるまでになった。
そして、一年前に『デイサービス円』の施設長のお母さまと知り合ったことで、定期的に開催するに至るのだ。





梅田さんによると、定期的に開催するのと、一度だけの開催では、全く違うのだそうだ。定期開催のメリットは多々ある。まずは受講者モチベーションだ。最初はあまり乗り気でなかった人も、開催回数を重ねるごとに、明らかにノリノリとなって、楽しんでくれる受講者が多いのだという。
いつも受講生の作品が完成した後にボードを貼り、受講生同士で作品の品評を行うことで、参加した受講生の意識を高める工夫もしているという。





それだけではない。色々なお題で、作品を切っているうちに、自分独自の工夫をしてくる人もいるのだそうだ。「この前は、作品にラメ入りのノリを塗りキラキラにしてこられた方がいたんですよ。想像力を育てる。情操教育ということにも貢献しているんです」と自信をもって話してくれた。





 今年のOKUTSU芸術祭には、デイサービス円で教えている受講生の皆さんの作品も、富総合福祉センターに展示された。作品を台紙に貼りボードに掲示するカタチでの展示となった。今回は、このような展示の仕方だったが、将来は何人かの代表だけでも、受講生が『紙きり』のように、話をしながら下絵のない紙を切れるようなパフォーマンスステージが出来たら、今よりさらに、やりがいを感じてもらえるのではないか、といった思いもあるという。





 梅田さんとしては、今後も高齢者にもっと教えていきたいとのこと。
小学生などの子どもにも教えたいが、指先を使うことが、認知症防止にも有効だということを聞いてから、さらにその思いが強くなったのだそうだ。





今、受講生の中で、最も年齢が高い方は90代。少しでも認知症防止に貢献しているのではないかと思うことが、梅田さん自身のモチベーションにもなっている。
謝礼を貰っているが、金銭的に教室活動を継続するのはしんどい。
しかし「社会に貢献するんだ」といった思いで、この活動をずっと継続していきたい。それが梅田さんの想いだ。





 梅田さん自身の切絵での夢は、自分の作品を写した写真集を出すことだという。
冒頭でも書いているように、ポップクラフトアートという立体切絵なので、そのまま印刷することができない。そこで作品写真集なんだそうだ。




その際のテーマも、すでに『蝶』に決めているという。今までの作品でも『蝶』を切っているものが、非常に多い。
「写真集にするときは、各都道府県を代表する蝶を47枚切って、写真にしたいです」それが梅田さんの切絵作家としての夢だそうだ。





是非そこに向けて、頑張って欲しい。

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