アットタウンWEBマガジン

地域の未来を切り開く仕事

一般社団法人カガミノミライ
代表 杉山 仁志さん

鏡野町にカガミノミライという一般社団法人の組織がある。
その代表理事である杉山仁志さんに話を聞いた。生まれが鏡野町の杉山さん、当時、岡山県小売酒販組合連合会の事務局長を務めていたが、7年前『カガミノツーリズム研究会』の立ち上げ期に携わることになった。
『カガミノツーリズム研究会』は今回紹介する一般社団法人カガミノミライの前身団体となり、町から移住・定住や観光などの促進業務委託を受託していたという。
今のカガミノミライでは対応しきれない為に、残念ながら観光促進業務は受けていないのだという。




 さて、この『カガミノミライ』設立は今から3年前と比較的歴史は新しいが、『カガミノツーリズム研究会』での活動が4年あるので、活動自体は7年も行っている。
主な活動は、他都市からの移住相談と、鏡野町をはじめとした地元在住者からの定住の相談となっている。
今はコロナ禍と言う事もあり、大阪などで定期的に行っていた出張相談業務ができないため、リモートでの相談となっているが、実はコロナ禍が始まって、関東圏からの移住の問い合わせは増えているのだそうだ。
移住の動機は、予想の付きそうなコロナ避難だそうだ。その後に実際に移住につながったケースもあるとのこと。移住促進という面では、このコロナ禍は全てがマイナスではないということらしい。




 また、移住と同時に、定住についても業務の一環となっている。ただ定住についての理解は、あまり広く知られていないのだそうだ。
移住が他の街から、この鏡野に住みたい人に来てもらって人口を増やすのに対し、定住は他の街へ出ていくのを防ぐこと、人口減少を押しとどめる活動だということで、移住対策がオフェンスなら定住対策はディフェンスの役割のようなもので、どちらとも重要なものだ。




先祖代々この地で暮らす人、他の街からこの地に移住してきた人、そんな人たちが何らかの理由で鏡野の地を去らなければならない事態を回避するため、相談を受けており、その内容は多岐に渡る。相談に乗っても全く対応できないものもあるが、少しでも転出回避につながるように丁寧に話を聞き、何ができるかを考える。





 相談の中で最も多いのが住まいの問題。鏡野でも、住まいが理由で転出する人が案外多いんだそうだ。そのため、不動産屋で取り扱わない空き家物件についても積極的に携わっている。例えば都市部と違い、ペット可物件が町内にはほとんどない。実際にペットが飼える家がないという理由だけで、鏡野町を出る方もいるようだ。そういった方に町内で住み続けてもらうのも定住業務の大切な役目だ。それと同時に、移住の方への住まいの提供にも繋がってくる。
現在、鏡野町内にある空き家の数は約800件、その内、修繕などすると使える家は300件超くらいになるという。杉山さんたちは、その一軒一軒に直接足を運び、状況把握をした上で、所有者を探してコンタクトを取るなど活動をしているというが、300件を越える件数の空き家を把握するのは、かなり大変で、今の人員体制では、細かい対応が出来ていないそうだ。これは防犯など空き家問題にも絡むため、地域の役員さんの協力を得ながら、活動をすすめている。





 他にも、空き家対策の一環として、空き家管理代行といった業務も行っている。
月に一回、家の風通しを行ったり、草刈りや庭木の伐採なども、修繕が必要な場合は家主に報告し、修繕業者に発注するまでも行う。
これらの業務は、空き家対策としてだけではなく、移住・定住で提案する家に、スムーズに繋げていきたいとの狙いもある。
多くの場合、空き家になった家を処分したいであったり、貸してもいいと思う頃には、家が傷んで、大規模な修繕が必要であったり、直すことも困難になってからとなるそうだ。この空き家管理事業を行うことで、家が傷むのを遅らせることと、処分や貸し出しを促せるといった両面で、意義がある活動だそうだ。そしてもう一点、この事業が、この一般社団法人の収益事業ともなっている。
現在のカガミノミライの収入の多くは、町からの委託料に頼っている。そのため、事業費が割けず、行った方が良いが行えないものもが多いのだ。この事業を伸ばしていく事が、カガミノミライの活動を根付かせることにもなるため力を入れているのだそうだ。
蛇足だが、空き家リストの管理を充実させる為に、地域おこし協力隊を募集しているのだそうだ。




 変わった動きとしては、婚活イベントなども行っている。
結婚で都市部に転出しないように、岡山県県北でのカップリングや、都市部から嫁に、婿に岡山県北に来てもらえるようにとの願いを込めて始めた事業だそうだが、かなり大変だという。さらにコロナ禍に入り、しばらくこの事業は停止しているのだそうだが、これも移住・定住のために再開したいのだそうだ。
あの手この手で、移住定住対策を頑張るカガミノミライ。
その名の通り、鏡野の未来を切り開いていってほしい。

関連する情報