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アイデアで町内会を盛り上げて

津山市宮尾町内会 会長山田誠さん

 津山で町内会が太陽光発電を行っているという話が舞い込んできた。そこで早速取材に。今回、話を聞いたのは、津山市宮尾町内会の会長となる山田誠さん76歳。
宮尾町内会といえば、『久米の里』や『久米廃寺』などでも知られる地区だが、まずは、その宮尾地区での太陽光発電について根掘り葉掘りの取材だ。





 最初にアイデアを出したのは山田さん。元々は中国電力に勤めていて、その辺りの事情については、比較的早く知っていたそうだ。ちょうどその頃は旧久米町の助役をしており、声も出しやすい環境でもあった。思い立ったら即行動とばかりに、すぐさま町内会に提案したそうだが、これがなかなか町内の方から理解が得られなかったというのだ。
その後、津山市市議会議員の時代には自費で兵庫県まで、太陽光発電所を作った自治体の視察をしたりもした。
しかし、地元の長老は「結局は損して終わるんじゃないのか」「儲かる保証があるのか」などの声が大きかったそうだ。それでも提案を引っ込めずに、辛抱強く説明していった結果、若い年齢の層から徐々に、理解が広がりだしたのだという。
最後は、当時年上だった人たちも「まあ、やってみるねえ」といった感じで積極的ではないものの、なんとか了承を取り付けた。ここまでくるのに、最初の提案から2年の時間がたっていた。
 ソーラーパネルの設置場所として、『JA晴れの国岡山 久米支店』の倉庫屋上を、7%の使用料で借りられるように話をまとめた山田さんだったが、本当の意味での心配事はこれからだった。
計画をスタートする為に、最大30 kW程の発電をする施設となると資金面で1200万程度の初期費用がかかるのだ。当時はまだ太陽光発電の固定価格買取制度が始まって2年も経っていない時期だったため、今のように銀行が太陽光発電所向けの融資制度を扱っていなかった。





そこで、水利権組合や神社の総代会など、町内で積み立てがある各団体に声をかけて、固定価格買取制度の説明を行った。その中で、事業に全くリスクが無い事、確実に収益が上がり配当が出せる事、各組織に手間がかからない事などを丁寧に説明していったというのだ。
その結果、1200万円必要な事業費を上回る出資の申し出となったのだそうだ。
それで、ようやく発電所稼働にこぎつけた。発電量も最大31 kWと目標通りだ。
さて太陽光発電所が稼働すると、あとは順調そのもの。
年間の売電金額は、約180万円。うち30万円を修繕や管理委託などの維持費と廃棄時の廃棄料積み立てにあて、残った金額が農協や出資者などへの配当と、町内会の『老人会』『子ども会』『青壮年会』『婦人会』などの組織に振り分けられ活動費になっているという。
当初、発電所事業に反対していた人たちも、事業開始から3年もする頃には全員賛成となり、今では発電所事業がない町内会運営は考えられないようだ。





 久米の里や久米廃寺などスポットの多い宮尾地区にあって、地域の賑わいのために、町内会も色々と取り組んできた。そんな中で、山田さんには一つのアイデアがある。
宮尾地区の川を挟んだ南側に隣接する地区『久米川南』に天台宗の寺で宇多山圓光寺という寺がある。
その寺の縁起は、以下のようなものだ。

”宇多天皇は(中略)陰に諸国の名山霊地を遊歴して美作の国久米の村に来られた。其の時帝は数里の間人家のない所を通られ大変な空腹であり、従者も気を揉んだが如何ともすることが出来なかった。その時一人の野人があって芹の羹を献上した。帝はそれを召し上がり大変な美味を覚えた。京都にお帰りの後、詔りしてその野人を探されたが名乗って出る者がなかった。帝はこれは常人ではないと悟られ、其の地にお寺を建立された。後の人は此の寺を宇多寺と名づけた。  “




ここに出てくる宇多天皇は、猫の飼育にまつわる記録を残した日本最古の人物として知られており、この寺で猫を放し飼いにして『猫寺』としてPRしようというものだ。
今、瀬戸内沿いの街では、猫目当ての観光客が多い。一種の猫ブームでもある。
それに便乗しようというのだ。
ただし、問題もある。
臭いの問題や繁殖問題がそうだ。これから問題点を洗い出して、どのような対策が可能かを検討していく段階で、実現可能なアイデアかまだ分からないが、仮に実現すれば猫目当ての人が多く訪れてくれる日がくるかもしれない。楽しそうではないか。
まだ、どうなるか分からないが、山田さんのアイデアが実現する日が来るのを、楽しみに待ちたいと思う。

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