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【助けあいのしるし 】知っていますか? ヘルプマーク・ヘルプカード

 白い「+」と「♡」が描かれた、赤色の樹脂製のプレートをバッグなどに取り付けている方を見かけたことはありませんか?
 これは「ヘルプマーク」といって、外見では分かりづらい障害や病気を抱えている人が配慮を必要としていることを、周囲の人に知らせることができるマークです。

 例えば、義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病の人、発達障害、精神障害や知的障害、難聴の人、そして障害を抱える人だけではなく、妊娠初期の妊婦さんや重い生理痛の時や手術後、認知症など、外見からはわからないけれど、辛さを抱えている方が、何かあった時や辛さを分かってほしい時に、誰でも持つことができるマークです。





 このマークを装着し、マークの裏側には必要な支援や配慮の内容を記入したシールを貼ることができるようになっています。
 ヘルプマークとセットで使えるのが「ヘルプカード」です。自治体によって形式の違いはありますが、名刺大の折りたたみ式のカードで、名前・住所・血液型や緊急連絡先・病名・障害名・かかりつけ医療機関や普段使っている薬等を記入する欄があります。





 「実際に外出先で発作などが起こり、倒れた時にヘルプマークに気が付いた方が、マークの裏に『倒れても救急車はすぐに呼ばず、しばらく様子をみて安静にさせてください』という文字を見て、周りにその旨を伝え、慌てることなく対応ができた」という事例や、「電車の中でマークを付けている老人を見かけた。一見お元気そうだったから、普通なら声をかけないが、マークをつけていたことで支援する側も声をかけやすかった」という事例も多く聞いてきました。





 ヘルプマークは2012年、自身も人工関節を使用している東京都議の女性の提案から、東京都が導入・作成したことが始まりです。それ以降、全国でも次々と導入され、2017年7月には日本工業規格(JIS)の案内用図記号に追加され、国内統一のマークになりました。しかし、現状はまだまだ普及啓発が足りず認知度が低いと感じます。私には発達障害の息子がいて、急に大きな声を出したり走り回ったりすることがあります。幼い頃は、周りから親のしつけが悪いと思われたかもしれません。見た目では分からず、いちいち説明をしながら周りに謝るにも限界があります。そんな苦しんでいる人のために何かないのか? そんな時ヘルプマークのことを知りました。2014年マークができてから2年後のことで、全国的にも中国地方でも全く知られていない状況でした。




 ヘルプマークの良いところは、支援を必要とする人なら誰でも無料で受け取り装着することができること、そして、特定の疾患名を表すものではなく、利用者本人も精神的に楽になるということです。
 もし、街中や公共の交通機関などで、マークを付けた人を見かけたら「何か事情があるんだな」と思って、席を譲ったり、困っている様子があれば声を掛けたり、優しく温かい目で見守っていただきたいと思います。また、災害時には積極的に避難などを手伝ってあげてください。





 健康でいることは決して当たり前のことではありません。「自分には関係ない」と言い切るのは慢心です。辛さを抱えた時には皆が互いに自然に助け合いができる、気遣いや優しさのある社会になることを切に願うばかりです。

※現在、岡山県北部(3市6町)で令和3年度のヘルプマーク配布数は、人口22万7064人に対し313個とまだまだ普及が進んでいるとは言い難い状況です。


【寄稿】
参議院議員 宮口治子(46)




【PROFILE】
双子と年子の3人の子供を育てる母親。
長男は重度の広汎性発達障害をかかえる。
様々な経験を経て、ヘルプマークと出会い、普及活動を始める。
現在は国会議員として小さな声を国会に届けている。

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