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作州城東屋敷は鉄道空間

トレビック模型 猪子裕二さん

 作州城東屋敷は、城東の中之町にある無料休憩所。江戸時代の町家を復元した白壁と腰壁の鎧張りされた建物だ。
この冬までは、だんじり展示館が中心の施設だったが、この4月28日からトレビック模型を運営する猪子裕二さんが、ジオラマ展示をしている。
そのジオラマ、縦1.8メートル、横3.6メートルで昭和の津山市の風景を模している。見覚えがある懐かしい風景と感じる人も、多いのではないかという。




城東屋敷内は模型電車が走っているジオラマを見るだけなら無料となっており、他にも、展示されている希少な鉄道グッズなども見ることが出来る。
有料会員になると「体験型ジオラマ展示」として、自分の鉄道模型を持ち込んで走らせることも可能なのだそうだ。
ほかにジオラマ作品の展示スペース(3.6メートル四方)もある。




 美作地域は鉄道遺産や鉄道関連コンテンツが多い地域だ。
2016年にオープンした旧津山扇形機関車庫や収蔵車両を中心とした『津山まなびの鉄道館』が、津山で一、二を争う観光スポットとなっている。
因美線は鉄道開業当時からの木造駅舎が多く残っていることで有名であり、中でも「男はつらいよ」シリーズの最終作のロケ地になったことで脚光を浴びた1928(昭和3)年開業の『美作滝尾駅』が知られている。




同じように、開業当時から変わらない木造駅舎のままの知和駅、美作河井駅が人気の駅舎だ。さらに美作河井駅には、かつてラッセル車の向きを変えるために使用されていた、国内でも最古級の40フィート型の手動転車台「美作河井駅転車台」が現存している。




駅舎はないものの、春の三浦駅には桜のトンネルができ、撮り鉄の垣根を超えて、写真愛好家たちの撮影スポットとして人気となっている。他にも、円形の橋脚を持つプレートガーダー橋の松ボウキ橋梁などがある。
そして、その因美線を年に一度、イベント列車の『スローライフ列車』が走る。
 因美線以外にも、ドラマ「バッテリー」や保険会社のCMのロケ地となった姫新線の美作江見駅や、大正に建てられた木造駅舎の美作千代駅などもそうだ。




まだまだある。廃線となった旧片上鉄道のきちがはら吉ケ原駅舎と操車場のあった場所に作られた柵原ふれあい鉱山公園。なんとここでは、当時、実際に使用されていた車両が動態保存されており、コロナ禍前までは走行イベントも定期的に行っていたのだ。
そんな鉄道遺産の宝庫といわれる美作地域は、鉄道ファンにとって憧れの場所でもある。

猪子さんは美作地域を訪れる鉄道ファンの多くが足を運ぶ『津山まなびの鉄道館』から観光客を少しでも城東地区に誘導するということで協力したいという。




今後は、ジオラマ製作や3Dプリンターを使った小物作りの体験教室など、イベント開催も積極的に行いたいという。
7月も『ワークショップ鉄道ジオラマを作ってみよう!』というイベントを予定している。
地域住民にももっと気軽に立ち寄ってもらい、地域のコミュニケーション拠点として活用してもらいたいのだそうだ。
「気軽に立ち寄ってもらうことで、ジオラマを見ながら話をすることで、もっと鉄道模型ファンを増やしたいという狙いもあるんですよ」という。





ワークショップで製作されたパーツ等を使ったり、鉄道ファンが持ち込んだパーツを利用してコースを拡張するなど、魅力を高めていくのだそうだ。
「全国の鉄道ファンと、城東地区を訪れる観光客をターゲットにし、「津山まなびの鉄道館」との相乗効果を狙った鉄道コンテンツで観光振興を図りたい。
ジオラマは滞在時間拡大にもつながる。全国の鉄道ファンに、重要伝統的建造物群保存地区の町並みを感じていただきながら、観光客の誘客につなげていきたい」と言う話だ。





 勝手ながら、鉄道遺産でいっぱいの津山を中心とする美作地区が、鉄道の聖地としてファン以外の多くの人にも認知され、『鉄道ファンなら、毎年に訪れるのが常識だよね』と言われるようになる日が来るように、猪子さんには頑張って欲しいと思います。
猪子さんの活動に、大きな期待を込めてこの記事を締めくくります。

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