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『アイドル歌会@2022新年会』なるもの

 先々月の1月21日に東京は池袋で『アイドル歌会』と称されるイベントが、開催されたらしい。
会場はミクサライブ東京シアターミクサという場所とオンラインで行ったらしい。
残念ながら、私自身このイベントを知ったのが開催後だったため、どのようなイベントになったかは公式Twitterなどネットで探して詳細を知るしかなかった。

 色々調べてみると、イベントは2部構成になっており、普通の歌会のように自作の未発表の歌を持ち寄り、匿名で論評し合うものが第一部、連歌(れんが)といって発句と呼ばれる5.7.5に対し、別の人が7.7の句を返す返句で構成される歌を2人で詠むものを、付け句大会と銘打って第二部としている。
この歌会は連歌を第二部に入れることが、やや珍しいくらいで、至って普通の歌会になっている。それを女の子のアイドルに歌を詠ませるという斬新な発想だ。
今回の歌会を主催したのは『株式会社 短歌研究社』、『短歌研究』という創刊90年の雑誌を発行する出版社だ。
数年前に『ホスト万葉集』なる歌集を俵万智を選者に発刊して話題を集めている。それ以前の1954年には、寺山修司や中城ふみ子をデビューさせるなど、それまでの常識に対して挑戦的な雑誌というイメージをもっている。
今回のイベントでは、通常の歌会ではない連歌を取り入れて、双方向性を出しているのが、アイドルを呼んだ意義になっているのではないかと感じた。それも、返句を先に詠み、それに発句を返すという遊び心満載の企画を行っていた。今までの近代短歌、古典和歌では恐らく誰も、やってなかったであろう、かなり難易度が高い試みもあったという。
双方向でのやりとりを加えることで、ファンとの交流が生まれ一体感を演出しやすい。この一体感を売りにすることで、短歌に縁がなかった人に興味を持たすことが、このイベントの主たる目的なのだろう。
また、これまでにない歌会Tシャツを始めとするグッズ販売をオンライン通販で行うなど、斬新そのものだ。

 今回の開催は、事前に多くのマスコミなどで報じられたおかげか、アイドルの根強いファンの力か、会場チケットは即売だったようだ。
いずれにしても、今までではアイドルに歌を詠ませるという内容のイベントは、そのニーズから成立しにくいと感じていた。しかし、近年の若者の短歌ブームにより、状況が徐々に変わり、ついにここまで認知されたかといった思いだ。
詠まれた歌の内容は、俗に『若者短歌』とか『SNS短歌』と呼ばれるもの。やはり、内容は若者を強く意識しており、戦略性が伺える。
今後も、この短歌研究が先頭を切る形で、新しい短歌文化が作られていくのかも知れない。そう感じさせてくれるイベントだと思わせてくれた。
これを機に短歌に興味を持った若者に、明治から戦前まで一世を風靡し直観的でリアルな描写の近代短歌や、修辞法を多用し間接的な比喩でエンターテイメント性を極めた古典和歌へも、興味を広げていってもらいたい。
短歌の中にも、様々な短歌が存在し、それぞれの良さがある。そして、将来はそれらが融合する形で新たな短歌が生まれてきて欲しいと希望します。

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