アットタウンWEBマガジン

地元、鏡野への愛を

鏡野商工会会長・鏡野町芳野水曜会・土曜会
代表 宇佐美勝正さん



「鏡野町の賑わい創設のために、商工会長が様々な活動を行い奮戦している」そんな話を聞いて、会長の宇佐美さんにアポイントを取った。

 まず、話を聞く前に下調べをと、宇佐美さんをネットで調べると、現在71歳、剣道7段、そして岡山県を代表して国体に出場していたり、子どもたちなどに剣道を教えていたりと、県内の剣道界では相当の大物で、有名人だということが分かり、取材の際に剣道の話も聞くことにした。
実際に取材を始めると、筆者も短期間ながら剣道をしていたこともあって、剣道の話がメインとなったので、剣道のお話を中心とした記事になる。





 そこまでの達人となると、小学生の小さなころから剣道をしていたのではないかと思うのだが、宇佐美さんが剣道を始めたのは、『中学だったか高校に入る頃だったか』と、比較的遅かったのだそうだ。
最初のうちは、なかなか勝てなかったというが、続けているうちに勝てるようになってきた。遅い時期に剣道を始めると、本質を理解しやすいという。
剣道は、相手の隙を見て打ち込むことで、有効打を打ち込み、一本を取る。その隙をどうやって創り出すかが本質なのだそうだ。





ただ隙と言っても分かりにくいのだが、例えば双方が構えた時に、中心線を取った状態で一歩入り込むと、中心を取られた方の竹刀は、相手の身体から外れた角度に向いている。その状態で打ち込むと必ず有効打となる。逆に、中心を取られた方は、いくら打ち込んでも相手に当らない、この状態を隙というのだ。
その隙を、止まっている静の状態から作るか、動きの中から作るかなど、様々な駆け引きがあるのだという。
宇佐美さんも国体に出場していたころまでは、より多く動き、その動きの中で、相手が崩れて隙を作るのを見つける、といったスタイルで戦っていたのだそうだ。





その後、学業を終えた宇佐美さんは、岡山県警機動隊に所属し、剣道を続け、さらに腕にも磨きをかける。41歳と56歳で出場した前述の国体をはじめ、全国大会に度々出場していたのは、この県警に所属していた時だそうだ。
ここ鏡野に帰ってきたのは、県警を退職してから。帰って来てから自営業をしながら、剣道を続け、ここで、子どもたちにも剣道を教えるようになった。
子どもたちに、指導することで『教えながら育つ』と言われるように、そのことで自分自身も成長していることを、実感するという。特に基本を教えるに当たって、基本をおさらいするなど、再認識することがかなり役立っていると感じている。現在は、八段に挑戦するため、鍛錬に励んでいる。
子どもたちの指導方針については、全てに礼から始まる、厳しい指導を心がけているそうだが、最近の子どもたちは、厳しいだけでは続かないので、砕けて接する時間を確保することに気を遣っているのだそうだ。




剣道において鏡野は、宇佐美さんの母校でもあり、今は廃校となった鏡野高校がインターハイや国体などで、幾度も優勝するなど、輝かしい伝統を持っている。
その伝統を、子どもたちにも教え伝えていきたいということを話してくれた。




 さて、剣道の話題が長くなったが、剣道以外にも宇佐美さんが強力に推し進めてきた事業がある。今ではすっかり有名になった自転車のロードバイクイベントの『ファンライド鏡野』がそうだ。
このイベントはレースとして順位を争うものではなく、ロングコース約110㎞、ミドルコース約60㎞、ショートコース30㎞を走破するイベントとなっており、道路を封鎖してのロードレースとは違う。一切封鎖をせず、交通ルールを守って走行することで、国内でもこれだけの距離のイベントを開催することが可能となっている。
キッカケはCS放送でツールドフランスの放送を見たこと。




永遠とも思えるような長い距離を、日本では考えられないほど多くの人が、沿道から選手に声援を送っているのをみた。
「自転車で鏡野に人を呼べるのでは?」と思い、商工会に提案したが、やはり新たに事業を増やすことは受け入れられにくかった。
そんな中、商工会でも青年部が、「宇佐美さん、一緒にやりましょう!」と声をかけてくれたそうだ。それから始まったこの大会も、水害、地震、コロナと中止を挟みながら、サポート体制や補給所を充実させてきた。「サイクリストウェルカムの町」を目指して、さらに充実度を増していくとの話だ。





 そして商工会会長として、今、宇佐美さんが力を入れているのが、古民家を利用した商工会旧奥津支所を改修し活用している、賑わい施設だ。
商工会旧奥津支所は、苫田ダム水没地から移設後、活用されていなかったが、民間企業が賃借する形で改修が行われ、カレー店やカフェが入店し、今年からオープンしている。
かなり魅力的なロケーションとなっている、音楽やステージイベントも開催しているので、是非訪れて欲しいとのことだ。





今回話があっちこっちに跳んだようになったが、これも宇佐美さんが多方面で活動されていることの証明でもある。
これらの宇佐美さんの活動には、頭が下がる思いで話を聞かせて頂いた。

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