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実に短歌はおもしろい

 前回は、修辞法による単語を使った歌遊びについて説明しましたが、今回は内容で遊ぶことをしてみたいと思います。

以下は、私が即興で作った歌です。
直接の比喩ではなく、隠喩という間接的な比喩です。



人知れず
 松の木抱えて
  腰使う

色気ついたは
  5月のセミよ




内容は若干卑猥ですが、シャレが聞いた内容です。
これでも分かる通り、単語で遊ばなくても、歌の内容を加味した言葉としても遊べます。

例歌として出した歌の、3句切れの上3句の部分、「人知れず 松の木抱えて 腰使う」だけを見た場合、皆さんはどのような光景を連想されますでしょうか?
ちょっと恥ずかしくて、ちょっと言葉にしにくいですよね。
それを、最後の1句のみで完全に打ち消しています。
さらに、この歌の最後の句に「5月のセミよ」と5月を入れることで、このセミが早生(早熟)であることを表現してみたのです。

どうでしょう。
このような方法だと、単語単位で修辞法で飾らなくても、充分にシャレの効いた歌が作れるのです。
ちょっと川柳に似ていませんか?
そうなんです。
短歌は、31音中で、川柳のように、世の中を笑いや皮肉で詠んで楽しむこともできます。
川柳の17音と違い、短歌の31音あればスムーズにリズムよく、オチまで導くことが出来るので、かえって簡単に作れるのではないでしょうか。
このように、31音のルールさえ守れば、それぞれの歌人が、それぞれ自由な手法で詠むことが許されているのです。

もう一本、例歌を出します。
倫理上の問題はさておき、以下のような歌でも、短歌としてOKなのです。



あらふしぎ
 うちの隣の
  ブサむすめ

誰のか知らぬが
 子が出来たとな




内容は大変失礼な歌なのですが、おもわず笑いを誘うような、非常に面白い歌ですよね。


一般的なイメージは、風景を詠む、季節を詠むといったように、風情を楽しむのが短歌だという固定概念に流されがちですが、前回の修辞法による言葉遊び、今回の比喩や韻を踏むことによる言葉遊びなど、多種多様で色々な楽しみ方ができるのです。
皆さんも、自由に自分の詠みたい歌を詠む、そんな短歌に挑戦してみませんか?

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