衆議院議員 内閣府大臣政務官 兼 復興大臣政務官(石破内閣)
平沼正二郎氏 寄稿
正ちゃんのコラム
ここで今回の能登半島地震においての自助と共助の大切さの実例を挙げさせていただきます。能登半島の先端部に位置している石川県珠洲市三崎町寺家下出地区という場所があります。この地区は約40世帯約90人が暮らす海沿いの集落なのですが、この集落は今回の地震及び津波で大きな被害を受けました。堤防を越える津波が襲来、多数の住宅が倒壊しました。この地区は高齢者の住民が多いのですが今回、奇跡的に一人の被害者も出すことなく全員が避難しました。なぜそのような事が出来たかというと、この地区においては防災士や地区の役員等の協力によって、自主防災組織が設立され、避難計画等が準備されていました。また、東日本大震災の災害教訓を受けて、毎年1~2回、地震や津波を想定した避難訓練を継続しておりました。実際の避難にあたっては隣近所が声をかけあって、体の不自由な方は、元気な人が背負う等互いに助け合い、住民全員が高台の集会所に避難したそうです。
また、この地区での避難訓練では、避難時間を計測しており、最短ルートでの避難を研究していました。そのため、住民の皆さんは迅速な避難に慣れておりました。また平素より避難先である集会所でカラオケ大会や集会を開いたりして、住民同士のコミュニケーションもあったのも大きかったようです。このような平時からの自助と共助の取り組みが住民全員の命が助かるという事に繋がった好事例であると言えます。
東北には「つなみてんでんこ」という言葉がございます。避難は個々人がてんでんこ(ばらばらに)すれば安全な場所には間違いなく来てるはずだというお互いの信頼感があります。このような個々人の防災意識の信頼感が結果的には全員の安全につながると言う方が実践的にも示されております。私も防災担当政務官として政府内に置いて地域防災・国民の防災意識の向上にむけて更なる努力と改善を促進して参ります。しかしながら、やはり個々人のお力に頼らなければならない部分も防災にはございます。引き続き皆様方のご協力もよろしくお願いする次第であります。
※このコーナーでは『平沼正二郎』氏の寄稿文を、原則、原文のまま掲載しています。