アットタウンWEBマガジン

皆が集える楽しいお寺に

醫王山 木山寺 高峰秀光さん

 高野山真言宗の別格本山となる木山寺。真庭市の落合、木山地区、標高430mの當山山頂一帯に建立され、薬師如来を御本尊に祀る弘法大師開基とされる歴史のある寺院だ。
しかしそれよりも、参道の桜並木やアジサイ園の紫陽花、イチョウとモミジのグラデーション落葉で、この寺を知っている人も多いのではないだろうか。
今回は、白蛇の展示設備と周辺整備のクラウドファンディングを行った木山寺の住職を務める『高峰秀光』さんに話を聞いた。




 まず話を聞いたのが、クラウドファンディングを行った白蛇の飼育ケースの展示について。クラウドファンディングを行ったのは、檀家だけに費用を負担してもらうのではなく、寺と付き合いのある幅広い人から費用を集めたかったからだというが、蓋を開けてみると、思ったよりも全く関りのない人からの寄付があり、十分な資金が集まったのだという。
今回展示する白蛇はアルビノの青大将。アルビノはメラニン色素が欠乏した個体で、色が白色か黄色になり目が赤いのが特徴。




今回、巳年ということもあり、正月から本堂横お守り所の建物で、今年いっぱい4匹のアルビノ青大将を展示している。白蛇は弁財天の化身や使いとされていることもあり、ブリーダーをされている信者の方から6年前に奉納されたのが始まりだ。今回の展示ケースは木製だが、佐田健美さんの組子の技を用いて制作している。また、ペアガラスを使用しヒーターを装備するなど、密閉性、保温性を高めて、冬眠させないようにすることで、年間通しての展示が可能となったという。蛇自体も、冬眠させないことで体への負担が減り長寿となるのだそうだ。白蛇を拝みたい人は、混雑を避け、祭りやイベントのない日をおススメする。




木山寺ではこれに合わせて、白蛇のお守りなども用意している。他にも、3月1日は『巳の年』の己巳の日ということもあり、イベント企画もしているという。高峰住職は、元々、お寺はエンターテイメント施設。本来、お寺は半日、一日、楽しく遊べるようでないとダメだという考えだそうだ。




 アットタウン発刊日直後だが、2月16日に福引き会陽も開催され、毎年、福引会陽の日には、柴燈大護摩供や火渡りや、お焚き上げも行われ、参拝者には、甘酒の接待の他、テントでの飲食販売などもある。
明治の初めから始まった木山寺の会陽は、昭和59年まで裸祭りとして神木を奪い合っていたが、老若男女、誰でも参加できるようにと福引会陽に改められた。





 木山寺のある當山には、木山 HOLY TRAIL(木山ホーリートレイル)というマウンテンバイクのコースもある。お寺が土地を提供して、歩いて上がる参道を再整備してできたもので、登り返しなしのダウンヒルコースとなっている。運営は、『木山 HOLY TRAIL Project』が行っているが、木山寺としても、このようなレクレーション施設などにも積極的だ。
今は老朽化から撤去されているが、過去にはフィールドアスレチック施設もあったという。できれば、このアスレチック施設も再建したいのだそうだ。




 ハード面だけでなくソフト面でも、高峰住職は楽しめるお寺を目指す。
御朱印一つをとっても、文字だけ書いて印の部分は、消しゴムハンコを使ってオリジナルの御朱印を作ることが出来る。また本堂の西側に作られた猪目窓からは春夏秋冬で季節感溢れる景色が見られるなど、他にはない工夫をしている。





これから取り掛かるのは、階段の手前にある弁天堂が浮かぶ池の整備だそうだ。
現在、紫陽花が植えてある池の周りに対し、島になる部分にはサツキが植えてある。それを来年を目途に、紫陽花に植え替えることを考えているという。また、水が澱んで若干臭いがする池の水を入れ替え、睡蓮も整備することで水質改善して、もっと憩える場所に手入れしたいのだそうだ。
今は全く何も出来ていないが、個人的には、現代アートの襖絵や屏風があっても良いと思うし、モダンアートの彫刻などが庭にあってもいい。寺は歴史的でないとダメとの固定観念があるから時代に取り残されているという。




「お寺も時代に合わせてアップデートしていくべき」とはっきりという高峰住職の若い感性にワクワクする。「本来、お寺はテーマパークのような場所でもあった」そんな『テーマパーク』復活を目指す、高峰住職の今後のアイデアと行動に注目するとともに、今までにない新しい今流の寺院が誕生することを期待して、木山寺を楽しみに見守ろうと思う。

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