アットタウンWEBマガジン

土鈴の優しい音が子どもの成長を見守っている

百々人形保存会

美咲町で小さな命が生まれました。お父さんお母さんが「カラカラ」と鳴らしてくれる小さな土の鈴の音は、ふるさとの音。




奈義町のすぱーく奈義で行われた、アートクラフトホリデイ。
土鈴(百々人形)色付けを楽しむブースで微笑ましい親子がいた。

「昨日は2個、今日はまた3個目をつくっています。おじいちゃんや親せきの人にプレゼントするんだと張り切っていますよ」。
二日間で5個もの百々人形の色付けをした勝央町の水島琴音ちゃん(3つ)は慣れた手つきで絵筆をもち、とても上手に色付けする。
「とても楽しかったようで二日続けてきてしまいました」と琴音ちゃんの両親は目を細める。
琴音ちゃんが色付けした人形はニスでコーティングして10分程度乾かすと、とてもかわいい土鈴の百々人形になった、制作時間は約30分。
「お絵かきするのが楽しい」と琴音ちゃん。



百々人形は、京都清水で作られていた豆人形をヒントに昭和初期に土人形に絵付けをしたものがはじまり。
創始者の福田弘一さんが亡くなり一時途絶えていたが、その後衰退を繰り返しながら今に至る。
「若い人が継いでいってくれたらいいのですが」と北和気郷土資料館館長で同保存会の福井正さん。
「地元には空き家を利用したIターンの若い人も移住しているので、呼び掛けている。美咲町柵原の郷土伝統工芸を継承しなければ」。



美咲町百々の北和気郷土資料館では、百々人形の生産を後世に引き継ぐために、地道な制作活動を続けている。
毎月第一、第三火曜日の午後1時から3時まで9人の保存会会員が、男だるま、姫だるま、桃太郎などの人形を作る。
約140グラムの土を二つに分け、中に空洞をつくり小さな珠をいれ土鈴をつくる。

型枠を外すときや、間にできた耳(バリ)をとるのは難しく地道な作業だ。
それを電気窯で焼く「近所のご婦人たちと集って、失敗もしながら楽しくやっていきたいです」と福井さん。
慣れた手つきで真剣に土を型枠に押さえつけて「難しくて、なかなか思うようになりませんが近所の方たちと話をしながら楽しくやっています」と草苅淳子さんが話してくれる。




素朴で味わいのある百々人形は、美咲町の新生児全員に進呈されている。
3種類の百々人形から選ぶ事ができる。


男児出産のとき出生届をだしに行って、男だるまをもらったという柵原地域の30代主婦は「人形がやさしい鈴の音でカラカラ鳴ると、小さい頃夜泣きをしていた息子が泣き止んでいた。
今は保育園に行くようになり、すくすくと育っている、美咲町の子どもたちはみんな持っているので大切にしたいです」と話してくれた。



百々人形保存会では、多くの人に郷土玩具のあたたかさを知ってもらい、地域文化にふれてもらう事を目的に「実践出前講座」の申し込みを受け付けている。
イス・テーブルのある部屋があれば可能で、約90分の講座が2回で完成する(1回目と2回目の講座は2週間以上開けてほしい)。

百々人形保存会「実践出前講座」
1講座30人まで可能
ひとり1~2個制作する。
材料費 500円(小学生は300円)

お問い合わせ
TEL 0868-64-0801(福井さん)

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