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感性をゆさぶる書でありたい

寺坂昌三書道教室習作展



きょうは  うれしいことがありましたので
のはらに リボンをかけました
(工藤直子 のはらうたⅢより)

を書いた竹井摂さんの書
墨の濃さはうすく、優しい字体、改行の妙、にじみなどトータルに、ほっこりと、穏やかな気持ちが伝わってくる。注目するのは2行目の「う」の第一画。まるでたんぽぽの綿毛のような野の花の風景が見えるようではないか。



自詠の俳句

立ち上がる蟷螂胴に隙があるぞ
を書いた永禮宣子さんの作品では、力強い句の雰囲気をそのままに、二行目はカマキリが威嚇する姿を彷彿とさせるようで圧倒的に迫ってくる感じ。

俳句を五七五と改行しているのではなく、胴に隙があるかのような余白が絶妙。



9月21、22の両日、津山市新魚町のアルネ津山4階・地域交流センターで寺坂昌三書道教室習作展が行われた。

同教室は京都橘大学文学部教授・寺坂昌三さん(真庭市久世)が主宰する真庭市、津山市などの教室生の作品の集大成。

約70点以上の作品は、来場者に感動を与え書道芸術のすばらしさを見せていた。

「伝統的な、かな書道を伝えていきたい」と寺坂さん。

ご自身のかな書は曲線的で柔らかい筆致が魅力。

「教室の皆さんの書きたいものをメインに、題材が与える印象を思い浮かべて手本を書いてみる、書と題材が互いに生かしあえれば」という。




一つ一つに作者の思いが込められた書が、美しい。

書はストーリーを作ると寺坂さんは言う。

変体仮名や篆書(てんしょ)でも、読みやすい楷書、仮名であっても読めたらわかったのではない、書の中に作者の思いとは別に、見る側のストーリーがあってもいいのではないかと。

漢字もひらがなも読めない外国人が、書を感じ「ロンドン郊外の霧にけむるフォレスト」と表現した例もあると言う、寺坂さんの感性のふところは広い。




「字が上手になりたいと、ボールペン字から始めた人も、教室で筆を使っている人を見て筆や墨で表現したくなる人もいます、文字のおけいこから書表現をしたくなり、アートの世界に入っていく人も多いです」と話す。


熱心に見入っていた津山市内に住む40代女性は「絵の展示会などによく行くのですが、書は初めてです。絵よりすごい表現や、バランスがアートを感じます。とても驚いています、今日は本当に来てよかった」と満足そうだった。




月に2回同教室に通っている60代女性は「楽しみながらけいこをしている。好きなものを書かせてもらい、先生もユーモアがあり教室の雰囲気はとてもいいです。

すてきなお手本で的確なアドバイスをいただいています」と受付などを手伝いながら話してくれた。


寺坂昌三書道教室は、月1回から3回、真庭市では久世、中和で、津山市では二ヵ所で、他に奈義町、高梁市、岡山市などで展開している。

各種展覧会にも応募できる。詳しくは寺坂昌三書道教室へ問合せを。
090-9731-6223(寺坂さん)

また寺坂さんから、冠婚葬祭などの芳名帳への記入について聞いてみたので参考にしてほしい。

「芳名録は、大切な人の家を訪問するようなもの、ゆっくり丁寧に書くといいです、時間がかかっても心を込めて記入しましょう。

上手じゃなくても筆を使わなくてもいいのです。

よそのお宅に行って丁寧にあいさつをする気持ちで記入しましょう。

また展示会などは受付が家の入口だと思って皆さんの作品を拝見しに来ました、というご挨拶の気持ちを込めて書きましょう」とのこと。

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