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「作って」と言ってくれた人の喜ぶ顔を思い浮かべながら

美作の工芸民芸・中江勝久さん

やりたいことが見つかった

中江さんの制作歴は、そう長くない。定年退職後三年間、中国で過ごし帰国、今まで仕事をしてきた自分が仕事をしないという恐怖があり、とてもあせった時期があったという。時間をどう過ごせばいいのか、社会とのつながりは・・・今まで懸命に突っ走ってきた人は中江さんの気持ちがわかるだろう。

中江さんは、ほどなく竹細工昆虫に出合った。漠然とした思いの中で「お面」を掘りたいという気持ちがあったが、秋の草花展で生きているかのような竹細工のバッタを見た時、心が動いたという。




制作に喜びを感じながら

それから中江さんの制作がはじまるのだが、今では「津山工芸愛好会」に所属し数々の賞を受賞。
ワークショップを開いたり、津山市城東地域、城西地域などでのイベントにも出展するようになった。
そのなかで中江さんの創作意欲をかりたてるものの一つは見てくださる人の言葉や、評価だという。
「一度見に来てくれた人が友だちを誘って、また来てくれたことはとてもうれしかった」と振り返る。




素材の事を今も勉強中です

「私は素材の竹の事など一切知らないままとび込んでしまいました」作品の鉛筆画の下絵を基に制作に取りかかるが、絵に描く過程がとても楽しいという。
その下絵ノートも今では3冊になった。
「虫の形などを図鑑で調べたりするが、本物が一番いいです。私の好きなのはカマキリで威嚇(いかく)する姿がいいです。人でも車でも怖いもの知らずでいどんでいく生き様がかっこいいと思っています」と笑う。




昆虫ばかりではなくなつかしい風景を擬人化した動物で表現するのも好きという「動物が魚釣りをしていてもいいと思うし、その表情を作り出す楽しさがあります、ちょっと首をかしげてみたり、目元を変えたりして可愛らしい感じや怒った感じ、困っている感じを出すと今にも話しかけてきそうです」。
アクセサリーを作ってみても楽しいんじゃないですか、と提案したところ「せっかくの作品。
アクセサリーは壊れやすいので作った側も身につけている側も不完全になるのは悲しいと思います」。と虫や動物のキーホルダーやブローチは却下された。




力を抜いて取り組んでいます

工房は自宅台所のテーブルで一日2~3時間の範囲で制作を楽しんでいるという。
材料となる竹は近くの山で伐ってくるが黒竹はなかなか手に入らず自宅に植えてみたという、その竹をドリルでカットしたり、細かい作業には切り出しナイフを使い、昆虫の手足などを曲げるときには半田ごてを使う。
小さな趣味的な事が今や大きな楽しみになっている様子。中江さんの制作には無理がなく力を抜いて取り組んでいる様子がうかがわれる。



イベントにも参加しています

9月28、29の両日行われた、アート&クラフト展つやま城東まち歩きでは城東屋敷で展示を行い好評を博した。
また10月6日に行われた、城西まるごと博物館フェアに初出展した。昆虫や動物に触れる子どもたちの顔は生き生きとして、高齢者には子どもの頃の記憶を呼び起こすことができた展示だった。
それを見ながら説明したり話しかけている中江さんの表情は、とても穏やかで優しさにあふれていた。




中江さんの作品はインターネットで見る事ができる、「じいちゃんの竹細工」で検索して多くの作品を観賞して欲しい。
また、町内の集まりや子ども会、学級P活動などワークショップの受け付けもしているので、気軽に問い合わせをしてみては。

中江勝久さん 090-4570-1076

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