私の心が肉体の右上に存在し出来た作品も
寒い日、私はカグラタニさんと会った。古民家のギャラリーNisiima25(津山市西今町)の奥の間に彼はいた。紹介してくれたのは、NPO法人灯心会の松田圭一さん。
独特の色彩で
中近東の柄だろうか、インドだったかもしれない。黄色が映えるペンで書いた作品。
10~20色を使っているような作品は形を縦線で塗りつぶしたり、間隔をあけたり交互に色を使ったりとバリエーションが多い。
色の濃淡は線の間隔や、中央の花蕊(はなしべ)にも見えるような、丸であらわされていたり。
点描の点と点の感覚にも気を配っているようにも思える。
ただ彼は言う「描いているときは深く考えていない」と。
花のような柄も「私の記憶に基づいては書いてはいません」そう話すカグラタニさんの真面目さが見えるようだ。
その絵の中には数匹の蝶々が羽を休めたり寄り添ったりしている。
衝撃的な絵も
中央に少女がひざまずき、頭を抱え、背中には何本もの鋭いものが突き刺さっている作品は衝撃的で、目をくぎ付けにする、上下からおびただしいおどろおどろしいものが攻めてくるような感じだ。
だがこの怖いと思えるモノクロのペン画の救いは小さな小さなアリたちの行列、アリたちが歩いているさまは、少女の救いとなっている感じがする。
『火の鳥』の我王が手に乗せたてんとう虫が心に残っていると、彼は言う。
「アリは私の分身かもしれないです」とも。
絵画展は1月26日まで
動物が好きだという、小さいものが好きだと・・・少女の作品を描いたとき「私の心はここら辺にあって、手が勝手に描いていく感覚です」と自分の頭の少し上を指さした。
カグラタニさんはとても繊細、とても正直、とても純粋な人。
言葉一つ一つを発するのに責任をを感じているような気がしてならない。
口数の少ない彼の心の内を少しだけ見せてくれるような絵画展は1月26日まで。
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