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陶器で地域を盛り上げる

津山市 奥田福泰さん

 津山市の野村に、陶器が展示されているギャラリーがある。
古民家を改装したギャラリーには、オーナーの奥田さんの作品などが展示してある。
奥田さん自身は津山出身だが、大学進学で津山を離れた。その後、相生でサラリーマンとして仕事につき退職までを過ごした。
陶器と出会ったのは、相生でのこと。元々趣味として陶芸教室に通ったのが始まりで、すぐに陶芸にのめり込んだそうだ。
2013年、60歳で退職すると、すぐに津山にUターンすることに。
その際に、趣味の陶芸をプロとして本格的に取り組もうと、自宅をギャラリーに改築した。




 そんな奥田さんの活動は、芸術活動だけではない。陶芸を生涯学習や情操教育を含めて地域の活性化に繋げたいということで、陶芸体験や陶芸教室を行っている。
陶芸体験は、ギャラリーにある工房だけではなく、小学校への出張イベントなど積極的に行っている。他にも土日など週に二回、観光客へも対応する。これは、ソフト面で津山の観光活性化に協力したいという思いもあるのだそうだ。




 工房で行っている陶芸体験は、電動ろくろを使った本格的なもので、素人が行うには、かなり難しい作業に挑戦できる。
当然、初体験では、なかなか形にならないので、教える方もかなり大変な作業となるそうだが、細かくサポートをすることで、過去に作品が出来あがらなかった人はいないという。
陶芸体験を行うには、他にも大変なことが多々ある。まず限られた時間内で行うため、作業時間が足りないのだ。




そのため、体験の予約があった人が使用する土を事前に練る事から始まり、体験が終わってからも、作品の底の部分になる高台を付け、釉を塗り、焼く作業までを行い体験者に発送する。
もし、体験者の作品が、焼く際に割れるようなことがあれば、割れたものと一緒に似た形のものを送っているそうだ。
それでいて料金は、電動ろくろで3500円と採算度外視の設定にしている。
この体験で「面白い」と思った人や、「もっとやりたい」と思った人に向けて、陶芸教室も行っている。




こちらは、現在の生徒さんは12人で、週3回開催している。奥田さんは、「元々、月謝での儲けは考えずに、みんなが楽しみやすい料金に設定しているので、電気代の高騰は、さすがに困っています」と昨今の物価高に、困惑気味だ。
教室の運営スタイルも、分からないことは指導もするそうだが、「サークル感覚で参加して欲しい」ということだ。教室は1回最大4名で3時間、午前・午後と二回行っているという。
これも県北の人に、陶芸の楽しさを知ってもらったり、コミュニケーションの場を提供できたら、という思いからなのだという。詳細はギャラリーふうに電話で問い合わせて欲しい。




 奥田さんの活動は、体験教室だけではない。勝間田焼というのをご存じだろうか?
勝央町で鎌倉時代までに栄えた幻の陶器と言われるものだ。古墳時代の須恵器生産の技術を受け継いで焼成されたもので、青灰色の硬質な焼き物と紹介されている。この、勝間田焼を再現する『勝間田焼復活会』に参加しているのだ。
復元した作品は、『ギャラリーふう』でも展示されているので、興味がある人は見ることが出来る。




現在、この『勝間田焼復活会』には、会員がプロアマ問わず在籍している。
復活を目指すにあたり、自分たちで窯作りから始めたのだそうだ。当然、奥田さんも当初から会員として加わり、活動している。
土木の素人が集まり、窯を作る場所を整地するところからの作業は、困難を極めたそうだ。さらに最初の数年は、思い通りのものが焼けず、会員皆で試行錯誤を行ったという。




毎年、この窯で作品を焼いているそうだが、窯の燃料は薪。この薪の確保が大変なんだそうだ。山林の所有者に許可を取り、使い慣れないチェーンソーを使い木を倒す。さらに小切りにし、運び出して薪割り器にかける。復活会の活動のうちの多くは、この大変な薪作りに費やされるそうだ。
そんな勝間田焼も会員の努力もあり、今では完全に復元できている、と言っても過言ではない物が焼けているという。




 勝間田焼に興味がある読者は、勝間田焼復活会の各会員に申し出れば加入できるという。もちろん奥田さんでもいいそうだ。
実は、奥田さんの教室に入ると、この窯で一緒に焼いてもらうことが出来る。尚且つ、料金も不要だ。




当然、時期などを合わせて、作品制作をすることが前提となるが、自分の作品を勝間田焼の風合いで焼き上げてもらうことが出来るというのだ。
様々な活動を通して、地元津山そして岡山県北地域に携わる奥田さんだが、今後はギャラリーを貸すなどして、芸術家を支援したり、地域の賑わいの為に貢献したいとも考えているという。
いつまでも、元気で活躍して欲しいと願うばかりだ。

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