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幻の白山神社はダム湖を見つめながら消えた

真庭市を流れる旭川上流にある湯原ダムは、洪水調節や発電などの目的で昭和27年(1952)年着工。
30年に完成した。
周辺に安心な生活を与えたがダム湖周辺に置き去りにされた神社がある。
山岳信仰を柱に、菊理姫をまつる白山神社は湯原ダム建設に伴う住民の立ち退きにより氏子全体を失った、当時の真庭郡二川村大字小童谷にあった村社・白山神社は今ではわずかにその面影を残すが、時代の流れによって忘れ去られた神社だ。



伊弉諾(いざなぎ)神と伊弉冉(いざなみ)女神は夫婦の神様として多くの神を生み出すが、火の神の加具土命を産むときに伊弉冉は大やけどをしてなくなってしまう。
愛する妻を忘れることのできない伊弉諾は、死者が行くという黄泉の国まで会いに行った。
死者となった伊弉冉は醜い姿を夫に見られたくなかったが愛ゆえに伊弉諾は覗いてしまい夫婦のいさかいとなってしまう。



美しい姿のままの女神でありたかった伊弉冉は黄泉の軍隊を擁して逃げる伊弉諾を追いかけたのだった。
この世とあの世の境、それは黄泉比良坂(よもつひらさか)。
そこで夫婦喧嘩になったが、仲直りの役したのが菊理姫とされる。喧嘩を収め伊弉諾は無事にこの世に帰り、菊理姫はたいそう褒められたということだ。



菊理姫は古事記での表記がなく日本書紀の『一書』に一度しか菊理姫命(くくりひめ=括る姫)としか名前が出ていない謎の姫とされる。
括る姫とは、対立するもの、異質なものをつなぐという意味があり、縁結び、和合の神としてもあがめられている。
ほかに夫婦円満・家内安全・生業繁栄などの幸徳があるとされる。



美作地域では、美作市外野の白山神社。
勝央町植月北の日吉神社(境内神社)でも菊理姫をしのぶ事ができる。

(歴史監修・和仁隆明)


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