茶道、華道と共に三大芸道のひとつである香道。しかし、香道について詳しく知っている人は、かなり少ないのが現状です。
実は、この香道と古典文学は、深いつながりがあるのです。
まず、香道について簡単に説明していきます。
一言で表現するなら、香り当てゲームというイメージを持ってもらって構わないと思います。
しかし、単純に香り当てではなく、和歌や源氏物語などの古典文学を使ったプラットホームの上で、香りを判別し、当てていくゲーム・エンターテイメントなのです。その上でさらに、所作等の作法が加わり、とても優雅に演出されているのです。
香道では、香りを「嗅ぐ」と表現せずに「聞く」と表現します。
そして、お点前という香を焚く一連の所作をする人を香元と呼びます。
香元が香を焚いた香炉は、香席と呼ばれる客の間をまわされて、客は順番に香りを聞きます。まず「試み香」といって覚えるために香りを聞き、その後「本香」という香り当てに移ります。
その後に、三景香や源氏香などと言われる遊び方で、和歌や源氏物語の一節を題材に、香りを語句に当てはめていきます。
どの句に、どの香を使うかによって、文学に対する解釈を表現します。これが、香席で行われる組香と言われるものとなります。
つまり、和歌や古典文学に基づいた題材を、複数の香りを使って一つに表現するもので、客は香りで表現された古典文学の世界を鑑賞するのです。
具体的なルールは難しく、所作もややこしいため、詳しい説明は割愛しますが、その基本的な所作として「香炉を受け取り、左の手のひらに載せ、右手で覆い、親指と人さし指の間から香りを聞く。程度のことは覚えておいてもいいのではないかと思います。
普通は、流派に所属している人は、免許皆伝まで「香席」を主催することはできません。
香道についての経験や知識、古典文学の解釈などが一定のレベルに達していないと、誰もが納得できる綺麗な香組ができないという考えからです。
しかし「組香」は、古典文学を利用して遊び方を決めているだけなので、誰もが自由に組んで遊ぶことができます。公式な香席はなく、知人、友人同士で楽しむことはできます。
試しに、なんちゃって「香席」を設けて楽しんでみてはいかがでしょうか。
香木は高いイメージがあり、確かに目が飛び出るほどの価格のものもありますが、安いものであれば10g2000円程からありますので、少々背伸びするのも楽しいかもしれません。