今回の件で、ちっぽけなプライドを大きな勇気に変たニャンキチは、直ぐさま、神戸行きのバスへ乗り込むのだった。
そして非常識にも、今は三宮に住んでいる浅原涼華さんにバスの中から電話したのだ。
「今から、津山から神戸へゆく。生きているうちに君に会って、どうしても伝えたかったことがあるんだ。三宮駅のの改札口まで出てきた欲しいのですが。」
涼華さんはいきなりの電話でビックリしたが、言葉すくなに答えたのだった。
「いいよ。ちゃんと待っているわよ。今から家をでるわ。」
涼華さんは三宮駅まで歩いて5分の場所に住んでいるのだ。
神戸市に着くとすぐにニャンキチは、バスターミナルの前の花屋で、自分の誕生花であるカランコエを直ぐさま購入したのだ。
三ノ宮駅に着くと必死に涼華さんを探すニャンキチ。
なかなか、人混みと喧騒の中、涼華さんは見つからない。
焦る。
先に涼華さんがニャンキチを見つけて人目もはばからず大きく手を振っていた。
「ニャンキチ~!!!!!」
「涼華さ~ん!!!!!」
ニャンキチは猛ダッシュで息も切れ切れにハァハァとやっと涼華さんをめがけて走る。
そして、ずっと大好きだった、涼華さんに、カランコエを手渡した。
「私が貴女をずっと守るから、どうか……。私と結婚してください。」
涼華さんは、はにかみながら、微笑んで答えた。
「はい。私でよければ。喜んで。」
それはまるで、カランコエが、二人の絆と愛をずっと見守ってくれているようだった。
おしまい。