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猫多川賞受賞作家マタタビニャンキチ先生物語~新興宗教お笑い教―黙示録の使徒たち―~(前編)

2019年09月09日

小生、マタタビニャンキチはこの秋に、薄汚いコールタールのようにドロリとした黒い噂の絶えない上九錦蛇村(かみくにしきへびむら)にある、謎の新興宗教団体お笑い教の総本部へフィールドワークへいってきた。

たまたま、宗教系のコミュニティーサイトである「ハッピーエンド・クロニクル」で知り合った、花火が南フランスのプロヴァンス地方の百花のように美しい、日本三大花火大会の一つである長岡まつり(ながおかまつり)が開催される、新潟県長岡市出身で東京在住のハンドルネーム香成(かせい)君という大学生の青年が、このお笑い教の入門編アストラル・ミュージックのCDを贈ってくれたことが、ことの発端である。

そして、このフィールドワークをもとにして、次作の「黙示録の使徒たち」を執筆する予定だ――
信者は全員そろいもそろって背中にお笑いと金色の文字が刺しゅうされた白装束(しろしょうぞく)を着て、大事に広辞苑ぐらいの大きさの「お笑い」の詔(みことのり)を抱えて、黒い数珠をしている。

小生が大きなお寺のような御殿の広間へゆくと一人の女性教祖遠藤三奈子のもとで一人の女性信者が叫びごえをあげていた。
「これから私が3時間、お笑いの詔(みことのり)をあげるので皆さま応援してください!!」
『あーりがたやぁ!ありがたやぁ!!あー「お笑い」のありがたやぁ!!!』

その女性が叫びはじめた、まわりの信者もそれを反響させるように繰り返す。
『あーりがたやぁ!ありがたやぁ!!あー「お笑い」のありがたやぁ!!!』
と教祖を中心にものすごい熱気に包まれている

「聞きしに勝るところだな」ニャンキチは内心震えた。
確かに、人生に「お笑い」は必要だが、これは流石に行き過ぎではないだろうか?――


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