「故郷と俳句と私」(4) 湯浅芳郎
岡山県北はそろそろ寒くなります。今月より冬の俳句です。
伯耆富士一跳びにして神集ふ
◆十月は神無月、全国から神様が全国の男女の縁組を相談するため出雲に集まる。東の方の神様は大山を雲に乗り越えて参集される。勿論、出雲は神有月です。「神集ひ」は冬の季語。学生時代、北壁下の元谷に大学の山小屋があり、足しげく通ったホームグランドです。志賀直哉が「暗夜行路」を書いた宿坊にもお世話になったことがある。
減反はせぬとの覚悟冬田打つ
◆百姓は皆さんの大切な食べ物を一生懸命に育てているのに、今の農業は厳しい。世界では食料不足の国も多い。水田は治水の観点からも役割が大きい。冬に夏の田植を楽しみにして入念に耕しておく。「覚悟」があれば自分としては納得がいく。
寒紅の濃き女たちには勝てず
◆「寒紅」は寒中に製した紅花から採れる紅。紅花は西アジア原産。推古天皇の時代に高麗より日本に伝来した。この句では冬に女性が用いる口紅。色々な会合で素晴らしい女性に会うが、口紅の濃い女性は敬遠したい。いくら勝負しても勝てないのだ。
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