アットタウンWEBマガジン

VOL1梶岡さん、河野さん、花村さん、岸元さん

2019年08月10日

◆短歌への誘ひ

新緑の山をかすめて飛ぶつばめわが里に夏ともなひて来し
梶岡 辰男
――作者は九十六歳のご高齢。夏を迎えられる喜びを的確に表現されている。

蓮群のなかより空へと飛ぶ鳥は蓮花(はな)のかほりを放ちをるらむ
河野 澄恵
――ハスの花群から鳥が飛び立った。結句のむは推量の助動詞で作者の内面。

看護する相手がゐるだけ幸せと独居の人の言葉かみしむ
花村 輝代
――高齢者の会話の一コマ。作者もご主人を看護していて亡き今は独居者。

まんまるのタンポポの綿毛一陣の風を頼りに宇宙(そら)に旅立つ
岸元 弘子
――蒲公英を沢山の綿毛が集まった、まんまるな地球のように表現している。

*四首とも、それぞれ作者の事象の捉え方も表現方法も違う歌を掲載してみた。
 短歌は決まりごとが多くて難しい―。
と一般的には捉えられていて、若者たちから敬遠されがちであるが、 私はこれからの短歌は、そういう堅苦しい決まりはひと先ず置いて、誰にでも気軽に日常の出来事や風景を五・七・五・七・七の三十一文字の短詩形に作って楽しんで戴きたいと願っていて、個性こそ宝物だと思っているのである。

歌評 矢野 康史

◆今月の短歌


◆矢野康史さん受賞歴
平成18年第48回あさかげ全国短歌大会最高得点賞(第1位)
平成21年・22年NHK全国介護短歌百人一首、連続入選
NHK全国短歌大会、入選・佳作、複数受賞
塩尻全国短歌フォーラム、入選・佳作、複数受賞


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