アットタウンWEBマガジン

矢野さんの短歌や短歌教室の生徒さんの歌を毎月掲載中。

2019年09月12日

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◆短歌への誘ひ

灼けるがの炎暑の日中(ひなか)を紅蜀葵(こうしょっき)赫き五弁花掲げて咲きけり
澤井悠紀子
●猛暑の中毅然と咲くモミジアオイを詠んでいる。作者もあやかりたいと。

敗戦時引き揚げの惨苦体験し恒久平和願ひつつ生く
萬代 民子
●作者は大陸からの引き揚げ者。言葉にならぬ体験を淡々と詠んでいる。

風戦(そよ)ぎ並ぶ青田の思い出は丸い母の背の草取る姿
堀内あい子
●昭和の田舎の原風景。作者は早苗田を見る度に母の丸い背を想っている。

大雨の警報ありて思ひ出す去年(こぞ)七月のリュックの準備
保田 誠一
●大川近くに住む作者の恐怖体験であろう。真備町の惨事を忘れぬために。

*今月は猛暑の中に生れた歌四首を取り上げた。
一首目の作者は高齢に負けず、毎日家の周りの草取りを欠かさぬと言う。酷暑の碧空に真っ赤に咲く紅蜀葵を見て逆に力を貰って生きている。
二首目、毎年暑い夏が来る度に大陸から引き揚げてきた、敗戦の民の悲惨さを思い出す作者。
三首目は青田に這い蹲って草取りに励んでいた、母の背中が今の作者の励みになっている。
四首目は昨年の豪雨での小田川の惨禍、他人事とは思われないのであろう。

歌評  矢野 康史

◆今月の短歌


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