@10月5日から 来年1月13日まで 湯郷 奥津 湯原温泉で
アートと温泉
岡山県内外で活躍するアーティストたちを招き、湯郷、奥津、湯原の美作三湯にある温泉宿など26カ所で展示制作することによって、その場所でしか味わう事ができない新しい文化価値の創造と発信を行い、お湯のあたたかさや温泉宿でのもてなしを楽しもうという「美作三湯芸術温度」が10月5日から2020年1月13日の期間行われる。
アートと温泉を組み合わせることで県北地域の盛り上げにつなげられないかと2016年に第1回が行われ今回は2回目。温泉地の可能性を広げ、新たな客層を呼び込む機会としてアーティスト、作家たちはやる気満々だ。
宮崎、居森両氏と珍道中
真庭市の湯原温泉での展示場所が決まっている岡山市の人形作家・宮崎郁子さんと勝央町の画家・居森幸子さんの現地での下見に同行させてもらった。
宮崎さんは南国バリスタイルの「我無らん」での展示。
同温泉宿は、旅館とホテル、それぞれの寛ぎをあわせもつ新しいスタイル。
実は当日お二人と私の待ち合わせは、勝山だったのだが、宮崎さんは行きがけ、ぼんやりとしたイメージがあったらしいのだが「とても不安だ」ともらしていた。
だが各部屋にお風呂がつき、緑や赤、紫などのテーマカラーで統一された雰囲気を見てまわり俄然意欲がわいたようだ。
宮崎さんの制作する人形の雰囲気を知っている私は、素敵な不思議空間になるだろうことが予測できた。
さて、少し歩いて居森さんの展示場所の「湯の蔵 つるや」へ。
元々湯原酒造として大正4年に創業し、約50年間湯原温泉の中で酒蔵を営んでいたという、老舗の和風温泉宿。 中庭には湯原が誇る天然記念物オオサンショウウオ(はんざき)がいる。先ほど見た我無らんとは対照的な純和風の宿。
居森さんは廊下や階段、各部屋を見て回り観賞者の動線を考えながらメジャーで柱や梁などの間隔をはかり、宮崎さんと話し合い意見を出し合って作品の展示をイメージしているようだった。
二つの宿を切り盛りする小河原弘基さんは、光の加減などのアドバイス、お客さんへの配慮も考えながら助言していた。
宮崎さんも居森さんも、美作三湯芸術温度に向けての新作制作に意欲を見せながら、じっくりと展示場所を調べ、温泉街を歩き、帰途についた。
帰りの車の中では大 盛り上がり。行きがけの不安はもうどこへやら、人形や作品のの置き場所や、サプライズをしよう、一泊したい、まずランチに行こうと興奮気味。作家がここまで楽しめるなら、必ず楽しく、美しく、魅力ある企画になるに違いないと心から思った。
岡山県全域をアートで
美作三湯芸術温度の企画、運営などを担当する奈義町現代美術館館長・岸本和明さんは「県内の若手アーティストの起用を増やし、美作地域の魅力を発見し岡山県全域をめぐるという大きな流れをつくりたい」と話した。
(取材ライティング・武本明波)