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走り続ける 陸上競技連盟 小林洋一さん

美作市勝田中学校のグランドで、月・水・金と仕事終わりの時間帯からの練習会で走っている。


現在の連盟会員は11名ほどになる。
今は健康のため趣味で楽しく走る市民ランナーが中心となっているが、本格的に競技として、陸上を行いたい人も歓迎している。
美作市在住に限らず、こどもから社会人、経験者、指導者など幅広く、会員仲間や協力者を求めている。

昨年、陸上連盟立ち上げのため、奔走した美作スポーツ協会【陸上競技連盟】代表の小林洋一さん。
岡山陸上競技協会が主催する『晴れの国 岡山駅伝』への出場を打診されたのが、きっかけだそうだ。
『晴れの国 岡山駅伝』は9区間合計42・195㎞のコースで開催されている県内の市区町村対抗駅伝だ。
中学生、高校生、大学生社会人、それも区間によって男女のエントリー規定もある。




この大会は県内各市町村の威信をかけて、岡山市中区の旭川・百間川ランニングコースで開催される。
小林さんは出場したい旨の相談を受け、これを二つ返事で快諾。
急遽、選手集めに入ったのだが、これが想像を上回る壁となる。まず、美作市内に高校が一つしかない。
また、それだけではなく、中学校には陸上部がある学校もないのだ。
直近2年間、この駅伝に美作市のエントリーはない。
人伝てで様々なランナーに打診していくが、選手はなかなか集まらない。
いろいろ悩んだ結果、『晴れの国 岡山駅伝』美作市選考会を開催することを思いついた。
しかし大会を開催するのは、一筋縄ではいかない。
要項を決め、準備をする。コース選定からスタッフの募集、ルールの策定や出場者募集など、最低限、行わなければならないことは、いくらでもある。
すべて一人で行った。
忙しいというレベルではない想像を絶する作業が続くが、始めた限り途中で止められない。
幸いにも『晴れの国 岡山駅伝』美作市選考会が開催されることが、主催新聞社に記事として取り上げられるなど、ようやく軌道に乗り始める。
地元町内会などにも、交通整理などのボランティアスタッフとして協力してもらえるようお願いにいくと、快い返事をしてくれた。
待機場所やウォームアップスペースも協力が取れ何とか開催に目鼻がついた。




大会開催当日は、女子中学生、男子高校生の各2人と、一般7人の計11人が集まった。
これで少し手ごたえを感じたが、まだ男子中学生が足りない。女子高校生も必要だ。
エントリーには、最低でも監督とコーチ、他に選手13人の登録が必要なのだ。
しかし、 エントリーの締め切りは刻々と迫る。
時間が刻々と過ぎるのに対し出場者が見つからない。
連日、津山の高校までお願いに回った。陸上部に限らず野球部やサッカー部など、運動部の顧問の先生と直談判をする。
申し込み前日になっても、選手はまだ決定していなかった。
申し込みには保護者の同意書が必要なため、事実上の期限最終日だ。
最後は、無理やり先生に頼み込み、生徒を直接説得することで、何とか了解を取り付けた。
こうして、『晴れの国 岡山駅伝』への出場ができたのだ。




駅伝へのエントリーができてからも、大変な日々が続く。
なんと陸上の中長距離での競技経験者が2人しかいないのだ。普通であれば順位を争える状況ではない。
ここから大会までの期間、練習が始まる。
短い期間で、少しでも走力を上げる練習が始まる。時間がない為、練習内容も工夫が必要だ。
経験者でない場合は、走っていてスピードがでない、もしくは持続ができない。
スピード練習に絞りメニューを作成し実践するが、経験者が少ない為に、やや軽めのメニューにする。
創意工夫をしながら、練習に取り組み大会に挑んだ。
大会当日は、すべてがうまく回った。順位は30チーム中23位。
選手が集まらない、あの状況から考えると、かなりの好結果だ。
周りも喜んでくれた。
一連の過程で、美作市スポーツ協会内に発足したのが、陸上競技連盟となる。




美作市陸連の成り立ちが駅伝出場だったこともあり、今は長距離をする人だけで、短距離や跳躍、投擲などのフィールド競技をする会員は、まだいない。
代表の小林さんも、実業団時代は中・長距離選手だったこともあり、どうしても長距離に目がいってしまう。
大学で本格的にしていた人や高校でしていた人などで、岡山県北に帰ってきた人など、陸上競技をしたい人は、誰でも美作市に限らず広く募集している。
指導者も同じだ。




今は、指導者がいない為、小学生以下のこどもが見られていない。
こども達にも、陸上競技の楽しさを知ってほしい。
また、「陸上以外の、他の競技をするにしても、走る・跳ぶなどの能力が上がれば有利になる場合が多い。そういった意味でも、陸上競技にトライして欲しい」と小林さん。
陸上競技連盟に、競技として陸上をしたい人にも参加してもらえるように、今月から美作AFとして陸連に団体登録もした。
美作AFに入ることで陸連に個人登録もできるため、日本陸連公認レースにも参加できる道ができる。



もちろん、「体力維持に」、「市民ランナーとして楽しく走りたい」などでも問題ない。
気楽に集まれればそれが一番。
小林さん自身も、「将来まだ走りたいと思っていたらマスターズに出場してみたい」とまだまだ選手としても精力的だ。
小林さんの次なる目標は、来年の『晴れの国 岡山駅伝』で今年を大きく上回るの成績を残すことだという。
結果を出すことで、注目が集まり露出が増える。そうすることで必ず反響が出るとの信念からだ。




「注目を集めやすい『晴れの国 岡山駅伝』で好成績を上げることで、連盟の成長につなげていきたい」と今後の目標を語ってくれた。
運営の立場として、指導者として、そして競技者として、今現在も、休むことなく全力で走り続けている。

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